STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第30問

臨床心理学第25回
精神分析の面接において別の特定の人物に向けられている感情が治療の中でセラピストに向けられることを示す概念はどれか。
  1. 1.逆転移
  2. 2.退行
  3. 3.抑圧
  4. 4.転移 ✓
  5. 5.昇華

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — 転移 精神分析において、患者が過去の重要な人物(親など)に対して持っていた感情や関係パターンが、治療場面でセラピストに向けられる現象を「転移」と呼びます。これは治療の中核的なメカニズムであり、無意識の葛藤が顕在化する重要な場面です。 --- 【各選択肢の解説】 1. 逆転移 ❌ 誤り。逆転移はセラピスト(治療者)が患者に向ける感情や反応を指します。転移は患者→セラピストの一方向ですが、逆転移はその反対方向です。 2. 退行 ❌ 誤り。退行は心理防衛機制の一つで、ストレスや不安に直面した際に、より幼い発達段階の行動や思考様式に戻る現象です。転移とは別の概念です。 3. 抑圧 ❌ 誤り。抑圧は無意識的に不快な思い出や欲動を意識から遠ざける防衛機制です。転移は感情の方向性が変わる現象であり、抑圧とは異なります。 4. 転移 ✅ 正しい。転移は精神分析の治療関係において最も重要な現象で、患者が過去の人物関係(特に親への感情)をセラピストに向けることです。治療の進行中にこれを分析・解釈することが治療的効果をもたらします。 5. 昇華 ❌ 誤り。昇華は欲動や衝動を社会的に受け入れられた活動(芸術・学問など)に転換する防衛機制です。セラピストへの感情の向け替えとは無関係です。 --- 【試験対策ポイント】 精神分析の重要概念の整理 | 概念 | 定義 | 主体 | |---|---|---| | 転移 | 過去の人物への感情がセラピストに向けられる | 患者→セラピスト | | 逆転移 | セラピストが患者に向ける感情・反応 | セラピスト→患者 | | 防衛機制(退行・抑圧・昇華) | 不安・葛藤に対する無意識的対処 | 患者の内的機制 | 紛らわしい3つの防衛機制の違い | 防衛機制 | 内容 | 例 | |---|---|---| | 退行 | より幼い段階への戻り | ストレス時に赤ちゃん返り | | 抑圧 | 不快な内容を無意識に忘却 | 心的外傷を思い出せない | | 昇華 | 欲動を高尚な活動に転換 | 悲しみを創作活動に | 転移が治療に重要な理由 • 無意識的な対人パターンが顕在化する • 治療者がスクリーンとなり、患者の内的葛藤が投影される • これを分析・解釈することで洞察が得られ、治療効果となる
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