第25回 言語聴覚士国家試験 第41問
音響学第25回
成人男性共通語(東京方言)話者が発話するある母音の対数振幅スペクトルを図に示す。誤っているのはどれか。【*別図参照】
- 1.広母音である
- 2.前舌母音である ✓
- 3.基本周波数は約150Hzである
- 4.第一フォルマント周波数は約750Hzである
- 5.第二フォルマント周波数は約1200Hzである
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 前舌母音である
図から読み取れる第一フォルマント周波数(約750Hz)と第二フォルマント周波数(約1200Hz)の組み合わせは、日本語の後舌広母音「あ(/a/)」を示しています。後舌母音であるため、「前舌母音である」という記述は誤りです。
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【各選択肢の解説】
1. 広母音である
✅ 正しい。第一フォルマント周波数が750Hzと高いことは、舌位が低い(口が開く)広母音の特徴です。日本語の「あ」は典型的な広母音です。
2. 前舌母音である
❌ 誤り。第二フォルマント周波数が約1200Hzと低めであること、および第一フォルマント周波数が約750Hzであることから、この母音は後舌母音です。「あ」は後舌広母音です。前舌母音(「い」「え」)ではF2値がより高くなります。
3. 基本周波数は約150Hzである
✅ 正しい。図の対数振幅スペクトルで、最も低周波数側に現れる周期的なピーク(ハーモニック)の間隔から基本周波数を読み取ることができます。成人男性話者で約150Hzは妥当な値です。
4. 第一フォルマント周波数は約750Hzである
✅ 正しい。対数振幅スペクトルにおいて、最初に顕著なピークが現れる周波数がF1です。図から約750Hzが読み取れ、これは広母音の典型的なF1値です。
5. 第二フォルマント周波数は約1200Hzである
✅ 正しい。F1の次に大きなピークとして現れる周波数がF2です。約1200Hzという値は、後舌母音の特徴を示すF2値として適切です。
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【試験対策ポイント】
日本語5母音のフォルマント周波数(男性話者の代表値)
| 母音 | F1 (Hz) | F2 (Hz) | 舌位置 |
|---|---|---|---|
| あ /a/ | 700-800 | 1000-1300 | 後舌広 |
| い /i/ | 250-350 | 1800-2200 | 前舌狭 |
| う /u/ | 300-400 | 600-900 | 後舌狭 |
| え /e/ | 400-500 | 1500-1800 | 前舌中 |
| お /o/ | 400-500 | 800-1000 | 後舌中 |
キーポイント:
- F1の値で舌の上下(広狭)を判定→高いほど舌位が低い(広母音)
- F2の値で舌の前後を判定→高いほど舌位が前(前舌母音)
- 対数振幅スペクトルの最低周波数側の周期が基本周波数(成人男性:約80-200Hz)
- 本問は「あ」の典型的スペクトル→後舌母音を前舌と誤読するのは典型的な落とし穴