STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第25回 言語聴覚士国家試験 第70問

言語発達障害学第25回
自閉症スペクトラム障害の言語・コミュニケーションの特徴はどれか。 a.文脈に適切な言葉の使用が難しい b.文法役割と意味役割を結びつけることが難しい c.語彙の即時マッピングが難しい d.相手に合わせて話題を維持することが難しい e.非言語的コミュニケーションの発達が遅れる 1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e

正答:3番

解説
■ 正答:3番 — a,d,e(文脈に適切な言葉の使用が難しい、相手に合わせて話題を維持することが難しい、非言語的コミュニケーションの発達が遅れる) 自閉症スペクトラム障害(ASD)の言語・コミュニケーション特徴は、言語形式の習得より「社会的相互作用」「文脈的な柔軟性」「非言語的な表現」の障害が中核症状です。ASDの子どもは、文法や語彙は獲得していても、相手や文脈に応じた適切な使用ができず、会話の相互交渉が困難になります。 --- 【各選択肢の解説】 a. 文脈に適切な言葉の使用が難しい ✅ 正しい。ASDの特徴的な障害です。形式的な言語能力は保持していても、場面や相手の知識状態に応じた言葉選びができません。これを「語用論的障害」と呼びます。同じ言葉を繰り返す(常同的発話)や、不適切な話題転換がみられます。 b. 文法役割と意味役割を結びつけることが難しい ❌ 誤り。これは限局性学習障害(LD)の言語領域やSLI(言語発達障害)の特徴です。文法構造の理解障害を示します。ASDは文法形式の習得は比較的保持していることが多く、むしろ社会的・語用論的な問題が中心です。 c. 語彙の即時マッピングが難しい ❌ 誤り。即時マッピング(新しい単語を初見で学習する能力)の障害は、SLIや発達性言語障害の特徴です。ASDの子どもは単語を繰り返し練習すれば習得可能で、語彙の即時習得自体が著しく困難とは限りません。 d. 相手に合わせて話題を維持することが難しい ✅ 正しい。ASDの著しい特徴です。相手の反応や知識状態を読み取り、話題をネゴシエートすることができません。会話が一方的になったり、関心のある話題に固執して相手の意図を無視したりします(会話の相互性の欠如)。 e. 非言語的コミュニケーションの発達が遅れる ✅ 正しい。ASDの診断基準に含まれる中核症状です。指差しによる共同注視の発達遅滞、身振りの少なさ、顔表情や視線接触の欠乏など、社会的シグナルの発達が遅れます。これが言語理解や会話参加の基盤となるため、ASDでは言語以前の非言語的スキルの発達が重要です。 --- 【試験対策ポイント】 言語発達障害の3タイプと言語特徴の対比 | 障害タイプ | 形式的言語 | 語用論 | 非言語 | 原因 | |---|---|---|---|---| | ASD | ✅保持傾向 | ❌著しく困難 | ❌著しく遅延 | 社会的相互作用障害 | | SLI | ❌困難 | △相対的に良好 | ✅正常〜軽度 | 言語処理能力の低下 | | LD(言語領域) | △部分的困難 | △困難 | ✅正常 | 学習メカニズム異常 | ASD言語・コミュニケーション障害の焦点 - 中核:社会的相互作用・共同注視・非言語表現の欠如 - 負の特徴:形式的言語能力は保持されることが多い(「知的能力が高いが社会的には不適切」という齟齬) - 語用論障害:場面性・相互性・文脈性の理解不足 即時マッピング障害
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