第24回 言語聴覚士国家試験 第129問
言語発達障害学第24回
学習障害(LD)の説明として誤っているのはどれか。
a.薬物療法によって症状が治癒する。
b.聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に困難を示す。
c.中枢神経系に何らかの機能障害があると推定される。
d.全般的な知的発達の遅れがある。
e.環境的な要因が直接的な原因となる。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — a,d,e
学習障害(LD)は特定の学習領域に限定された習得困難であり、全般的知的発達の遅れはなく、薬物療法で治癒せず、環境要因が直接原因ではありません。誤った説明はa、d、eです。
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【各選択肢の解説】
a. 薬物療法によって症状が治癒する。
❌ 誤り。学習障害は中枢神経系の機能障害に基づく発達障害であり、薬物療法では治癒しません。治療は教育的支援(代替手段の学習、補助具の活用、個別指導など)が中心です。
b. 聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に困難を示す。
✅ 正しい。これはDSM-5およびICD-11による学習障害の定義そのものです。全領域でなく「特定の能力」に限定される点が重要な特徴です。
c. 中枢神経系に何らかの機能障害があると推定される。
✅ 正しい。学習障害は神経生物学的基盤を持つ発達障害です。脳画像所見が常に証明されるわけではありませんが、中枢神経系の機能障害が推定されています。
d. 全般的な知的発達の遅れがある。
❌ 誤り。学習障害の診断基準では「全般的知的能力は平均レベル以上」であることが前提です。全般的知的発達遅滞がある場合は知的障害の診断であり、LDではありません。特定領域のみの困難が特徴です。
e. 環境的な要因が直接的な原因となる。
❌ 誤り。学習障害は中枢神経系の機能障害が原因であり、環境的要因(貧困、教育機会不足、言語環境など)が直接的原因ではありません。ただし環境要因がLD症状を二次的に悪化させることはあります。
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【試験対策ポイント】
学習障害(LD)の診断基準3つの柱
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 知的能力 | 全般的には平均以上(重要) |
| 習得困難 | 聞く・話す・読む・書く・計算・推論の「特定領域」 |
| 原因 | 中枢神経系の機能障害(環境的要因ではない) |
LDと区別すべき概念
| 診断 | 特徴 | 原因 |
|---|---|---|
| 知的障害 | 全般的知的発達遅滞 | 中枢神経系障害 |
| LD | 特定領域の習得困難 | 中枢神経系の局所的機能障害 |
| 環境的学習困難 | 学習成果の低下 | 教育機会不足・貧困など |
頻出の誤解
- LDは「薬で治る」ではなく「教育的支援・代替手段の習得」が治療
- 知能検査で総IQが平均以上でも、下位検査に著しい差(ばらつき)がある場合はLDの可能性
- 1歳6ヶ月:語彙50語基準(LDとの鑑別で発達遅滞との区別が必要な時期)