第26回 言語聴覚士国家試験 第125問
認知心理学第26回
記憶について誤っているのはどれか。
- 1.エピソード記憶は顕在的記憶である。
- 2.二重貯蔵庫説は短期記憶と長期記憶とを仮定している。
- 3.忘却曲線は原学習から再学習までの経過時間に対する節約率で示される。
- 4.系列位置曲線の最終位置にみられる成績上昇を新近効果という。
- 5.記銘前の体験によって記憶が妨げられることを逆向干渉という。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 記銘前の体験によって記憶が妨げられることを逆向干渉という。
この選択肢は「記銘前」と「逆向干渉」の定義がずれています。逆向干渉は、学習後に新しい情報を学ぶことで先に学んだ情報が妨げられる現象です。記銘前の体験による妨害は「順向干渉」と呼びます。
---
【各選択肢の解説】
1. エピソード記憶は顕在的記憶である。
✅ 正しい。エピソード記憶(個人的な経験に関する時間的背景を持つ記憶)は、意識的に想起できる顕在的記憶に分類されます。対比として暗黙的記憶には手続き記憶が含まれます。
2. 二重貯蔵庫説は短期記憶と長期記憶とを仮定している。
✅ 正しい。Atkinson-Shiffrinが提唱した二重貯蔵庫説は、感覚記憶→短期記憶→長期記憶という段階的な記憶プロセスを仮定しています。
3. 忘却曲線は原学習から再学習までの経過時間に対する節約率で示される。
✅ 正しい。Ebbinghausの忘却曲線は、再学習に必要な時間(節約時間)を原学習時間との割合で表す「節約率」で記述されます。
4. 系列位置曲線の最終位置にみられる成績上昇を新近効果という。
✅ 正しい。系列項目を学習・再生する際、後ろの項目(新近項目)は成績が上昇する傾向があり、これを新近効果と呼びます。対比として最初の項目が好成績を示す現象は初頭効果です。
5. 記銘前の体験によって記憶が妨げられることを逆向干渉という。
❌ 誤り。記銘前の体験による妨害は「順向干渉」です。逆向干渉は学習後に新しい情報を学ぶことで、先に学んだ記憶が妨げられる現象を指します。
---
【試験対策ポイント】
干渉(Interference):両者の定義が逆になりやすい
| 項目 | 時間的前後 | 説明 |
|---|---|---|
| **順向干渉** | 学習前の情報が影響 | 古い学習が新しい学習を妨げる |
| **逆向干渉** | 学習後の情報が影響 | 新しい学習が古い学習の想起を妨げる |
系列位置曲線の3要素:
- 初頭効果:最初の項目が成績良好(短期記憶に残存)
- 新近効果:最後の項目が成績良好(長期記憶化)
- 中間項目:最も成績が低い(忘却が進む)