第26回 言語聴覚士国家試験 第136問
音声学第26回
後続母音による条件異音でないのはどれか。
a.[z] ——— [dz]
b.[l] ——— [ɾ]
c.[dz] ——— [dʑ]
d.[t] ——— [tɕ]
e.[n] ——— [ɲ]
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — a,b
条件異音とは、同一音韻が文脈上(後続音など)の条件により異なる音声として現れる現象です。本問は「後続母音による条件異音でない」ペアを見極める必要があります。[z]と[dz]、[l]と[ɾ]は後続母音に関わらず異なる音韻(異なる音音体)であり、条件異音の関係にありません。
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【各選択肢の解説】
a. [z] ——— [dz]
❌ 誤り(後続母音による条件異音ではない)。[z]は摩擦音、[dz]は破擦音であり、異なる音韻体系です。後続母音によって一方が他方に変化するのではなく、本質的に異なる音です。
b. [l] ——— [ɾ]
❌ 誤り(後続母音による条件異音ではない)。[l]は側面音、[ɾ]は弾き音で、異なる調音様式を持つ別の音韻です。後続母音の影響で相互に変化する関係ではなく、言語体系上異なる音です。
c. [dz] ——— [dʑ]
✅ 正しい。[dz]は後ろ舌母音([u]など)の前で現れ、[dʑ]は前舌母音([i]など)の前で現れます。後続母音による同化現象として、同一音韻/dz/が異なる音声として実現される条件異音の例です。
d. [t] ——— [tɕ]
✅ 正しい。[t]は後ろ舌母音の前で現れ、[tɕ]は前舌母音(特に[i])の前で現れます。前舌母音による同化で、/t/が条件異音として実現される典型例です。
e. [n] ——— [ɲ]
✅ 正しい。[n]は後ろ舌母音の前で現れ、[ɲ]は前舌母音([i]など)の前で現れます。後続母音による同化現象であり、/n/の条件異音です。
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【試験対策ポイント】
条件異音と音韻の区別:
| 条件異音 | 異なる音韻 |
|---|---|
| 同一音韻の異なる実現 | 本質的に異なる音 |
| 環境により変化 | 環境に関わらず区別 |
| 例:[t]→[tɕ](前舌母音で) | 例:[z]と[dz](破擦性の有無) |
後続母音による同化のパターン:
- 前舌母音[i]の前:舌が前へ→[t]→[tɕ]、[n]→[ɲ]、[dz]→[dʑ]
- 後ろ舌母音の前:舌が後ろへ→そのままの音が出現
a,b選択肢の誤りの根拠:
- [z]と[dz]:破擦性の有無は後続母音では説明不可(音韻体系の違い)
- [l]と[ɾ]:調音様式が根本的に異なる(側面性の有無)