第26回 言語聴覚士国家試験 第186問
嚥下障害第26回
正しいのはどれか。
- 1.接食訓練の開始は言語聴覚士が決定する。
- 2.むせを認めても経口による服薬は優先する。
- 3.接食訓練前に口腔内の衛生状態を確認する。 ✓
- 4.血中酸素飽和度が変化しなければむせても摂食を続ける。
- 5.嚥下訓練の目標設定は本人の意思より検査結果を優先する。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 接食訓練前に口腔内の衛生状態を確認する。
嚥下訓練を開始する前に、誤嚥による肺炎や感染症を予防するため、口腔衛生管理は必須の前提条件です。口腔内の衛生状態が不良であると、細菌が下気道に流入するリスクが高まるため、訓練開始前の確認・改善は医学的に重要です。
---
【各選択肢の解説】
1. 接食訓練の開始は言語聴覚士が決定する。
❌ 誤り。接食訓練(嚥下訓練)の開始決定は、言語聴覚士の助言を受けながらも、医師(特に担当医・耳鼻咽喉科医・脳神経内科医など)が最終的に判断します。多職種連携チーム(医師・看護師・栄養士・ST等)で協議し、医学的安全性を確認してから開始することが原則です。
2. むせを認めても経口による服薬は優先する。
❌ 誤り。むせ(咳反射)は誤嚥の危険信号です。むせを認めた場合、その原因を究明し、必要に応じて経口投与を中止し、胃管栄養や非経口ルート(筋肉注射・点滴等)への変更を検討すべきです。むせを無視して経口摂取を継続することは誤嚥性肺炎のリスクを高めます。
3. 接食訓練前に口腔内の衛生状態を確認する。
✅ 正しい。誤嚥防止と肺炎予防のため、嚥下訓練開始前の口腔衛生管理は必須です。不潔な口腔内で訓練を進めると、肺炎菌等の病原体が下気道に流入するリスクが極めて高くなります。訓練開始の重要な安全確認項目の一つです。
4. 血中酸素飽和度が変化しなければむせても摂食を続ける。
❌ 誤り。むせ(咳反射)は誤嚥の重要な警告信号であり、SpO2が一見正常でも、むせがある場合は誤嚥が起きている可能性が高いです。特に高齢者や神経疾患患者では咳反射が減弱していることもあり、むせの有無だけでなく嚥下機能の詳細評価(VF・VE等)が必要です。
5. 嚥下訓練の目標設定は本人の意思より検査結果を優先する。
❌ 誤り。嚥下訓練の目標設定は、検査結果と本人・家族の意思決定を統合して決定すべきです。患者中心のアプローチでは、QOL向上を目指し、本人の経口摂取への希望を尊重しながら、医学的安全性とのバランスを取ることが重要です。一方的に検査結果を優先することは、患者の自律性を侵害します。
---
【試験対策ポイント】
嚥下訓練における安全管理と倫理的判断
| 項目 | 重要ポイント |
|---|---|
| 訓練開始決定 | 医師が最終判断(ST・多職種協議が前提) |
| 開始前確認事項 | 口腔衛生・意識レベル・呼吸機能・誤嚥リスク評価 |
| むせの意味 | 誤嚥の危険信号→訓練中止・医師報告が基本 |
| SpO2低下なし | 無症状の誤嚥(silent aspiration)もあるため根拠にならない |
| 目標設定 | 医学的安全性+本人・家族の意思決定の統合 |
関係法規との関連:嚥下訓練は