第26回 言語聴覚士国家試験 第70問
言語発達障害学第26回
小学校
1.年生の男児。「いえ」「あお」の復唱、書き取り(聴写)は可能。「ひこうせん」を「ひとーてん」、「アイスクリーム」を「あいうーむ」と復唱し、言った通りに書き取る。
今後行う検査として優先順位が低いのはどれか。
1.純音聴力検査
2.KABC-II
3.PVT-R
4.STRAW-R
5.新版構音検査
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — KABC-II
本症例は「音を聞き分ける能力」の障害(音韻知覚の問題)を示しており、聴覚処理の機能評価が最優先です。認知能力の包括的評価であるKABC-IIは、音韻知覚障害の評価には直結しないため優先順位が低いです。
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【各選択肢の解説】
1. 純音聴力検査
✅ 正しい。「ひこうせん」を「ひとーてん」と聞き誤り、音の長さや周波数を区別できていない可能性があります。聴覚系の一次機能スクリーニングは必須です。
2. KABC-II
❌ 誤り(優先順位が低い)。KABC-IIは「一般的な認知能力」(言語理解、同時処理、継次処理など)を評価する検査です。本症例の音韻知覚・聴覚弁別能力の障害を直接評価しない上に、認知能力に大きな問題がないと考えられるため、診断的価値が低いです。
3. PVT-R(語音聴取検査)
✅ 正しい。音韻知覚の微細な障害(特に音の相似性の弁別)を評価する検査です。「ひこうせん」「ひとーてん」の混同は、語音聴覚的弁別力の低下を示唆しており、PVT-Rで詳細評価が必要です。
4. STRAW-R(構音・音韻発達スクリーニング検査)
✅ 正しい。音韻体系の発達段階を評価し、どの音韻が未習得かを同定します。聴こえた音を正確に再現できない背景にある構音・音韻発達の遅滞を明確にする必要があります。
5. 新版構音検査
✅ 正しい。個別音の構音能力を詳細に評価し、音韻知覚の障害が「聞き間違い」か「産出困難」かを鑑別するために有用です。
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【試験対策ポイント】
症例のキーポイント:
- 復唱・聴写で音韻置換(「ひこうせん」→「ひとーてん」「アイスクリーム」→「あいうーむ」)
- 「聞こえた通りに書く」=聴覚入力段階での誤り(音韻知覚障害)の可能性が高い
- 単語認識(「いえ」「あお」)は可能=重度の聴覚障害ではない
各検査の位置付け:
| 検査名 | 評価項目 | 本症例での必要性 |
|---|---|---|
| 純音聴力検査 | 聴覚閾値(一次機能) | 最優先(基本スクリーニング) |
| KABC-II | 認知能力全般 | 低い(診断的価値が限定的) |
| PVT-R | 語音弁別能力 | 優先度高い(音韻知覚評価) |
| STRAW-R | 音韻体系発達 | 優先度高い(音韻発達段階の把握) |
| 新版構音検査 | 個別音の構音 | 優先度高い(産出困難の鑑別) |
紛らわしい選択肢(3・4・5)の違い:
- PVT-R:「聞き分け」(入力段階)
- STRAW-R:「どの音が習得されていないか」(体系的評価)
- 新版構音検査:「実際に言えるか」(産出能力)
→本症例は聴覚入力と音韻発達の両面評価が優先