第27回 言語聴覚士国家試験 第17問
臨床歯科医学/口腔外科学第27回
[t]の構音で舌尖が接触するのはどれか。
- 1.上顎中切切端
- 2.下顎中切切端
- 3.上顎中切歯基底結節 ✓
- 4.上顎小臼歯辺縁隆線
- 5.上顎中切歯口蓋側根面
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 上顎中切歯基底結節
[t]の構音は歯茎音(alveolar sound)であり、舌尖は上顎の硬い組織に接触して閉鎖を形成します。正確には、舌尖が上顎中切歯の基底結節(歯と歯肉の境界にある隆起した部分)に接触することで、口腔内の気流を遮断して破裂音としての[t]が産生されます。
---
【各選択肢の解説】
1. 上顎中切歯切端
❌ 誤り。[t]を産生する際に舌尖が接触するのは歯の切端ではなく、より奥の歯肉に近い部分です。切端に接触させると音韻的な特性が変わります。
2. 下顎中切歯切端
❌ 誤り。[t]は上顎を調音点とする音です。下顎歯列との接触は[t]の産生に関与しません。[t]では下顎は静止しており、上顎への舌尖接触が重要です。
3. 上顎中切歯基底結節
✅ 正しい。舌尖がこの位置に接触して気流を完全に遮断することで、[t]の破裂的な音質が得られます。基底結節は歯茎領域(alveolar ridge)の最前部に相当し、調音の最適な接触部位です。
4. 上顎小臼歯辺縁隆線
❌ 誤り。この位置は[t]の調音点よりも奥方です。この位置での舌尖接触は、より奥の調音音(例:[s]や[∫])に関連し、[t]ではありません。
5. 上顎中切歯口蓋側根面
❌ 誤り。口蓋側(内側)への接触は、舌尖の正確な調音位置ではなく、[t]産生には適していません。[t]は前方の歯茎領域での調音が必須です。
---
【試験対策ポイント】
調音点と調音様式の対応:
| 音素 | 調音点 | 調音様式 | 舌接触部位 |
|------|--------|----------|-----------|
| [t] | 歯茎(alveolar) | 破裂音(plosive) | 上顎中切歯基底結節 |
| [s] | 歯茎(alveolar) | 摩擦音(fricative) | 上顎歯列正中奥方 |
| [∫] | 後部歯茎(post-alveolar) | 摩擦音 | さらに奥方 |
| [d] | 歯茎(alveolar) | 破裂音 | [t]と同じ部位 |
キーワード:
- 歯茎音[t][d][n][l]の共通調音点は上顎中切歯基底結節
- 「基底結節」=歯肉との移行部の隆起(口蓋側ではない)
- 破裂音は「完全閉鎖」が条件で、摩擦音は「狭窄」が条件