第27回 言語聴覚士国家試験 第18問
臨床歯科医学/口腔外科学第27回
唾液腺の組織障害によって口腔乾燥症を引き起こすのはどれか。
- 1.脱水
- 2.糖尿病
- 3.抗不安薬
- 4.鉄欠乏性貧血
- 5.口腔癌の放射線治療 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 口腔癌の放射線治療
放射線治療は唾液腺組織に直接障害を与え、腺細胞の破壊・線維化を起こして唾液分泌能力そのものを低下させる。これが口腔乾燥症(放射線唾液腺炎)の原因となる。他の選択肢は唾液腺の組織破壊ではなく、全身的な水分・ホルモン異常や薬物作用である。
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【各選択肢の解説】
1. 脱水
❌ 誤り。脱水は循環血液量の減少に伴う相対的な唾液分泌低下であり、唾液腺の組織障害ではない。水分補給により改善する。
2. 糖尿病
❌ 誤り。糖尿病による口腔乾燥症は、高血糖による浸透圧利尿(唾液中の水分喪失)と神経障害によるもので、腺組織そのものの破壊ではない。
3. 抗不安薬
❌ 誤り。抗不安薬を含む抗コリン薬は、唾液腺の神経支配(副交感神経)をブロックして分泌を抑制するが、腺組織の構造的障害ではない。薬物中止で回復する。
4. 鉄欠乏性貧血
❌ 誤り。鉄欠乏性貧血による口腔乾燥症は、酸素運搬能低下による全身の機能低下であり、唾液腺組織の一次的な破壊ではない。
5. 口腔癌の放射線治療
✅ 正しい。放射線は唾液腺の漿液性・粘液性腺細胞を直接破壊し、線維化・萎縮を起こす。この組織学的変化は不可逆的であり、治療後長期にわたって口腔乾燥症が続く(放射線唾液腺炎)。
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【試験対策ポイント】
口腔乾燥症の原因分類:
| 原因分類 | 機序 | 代表例 |
|---|---|---|
| **組織破壊型** | 腺細胞の直接的破壊 | 放射線治療、シェーグレン症候群 |
| **神経障害型** | 副交感神経遮断 | 抗コリン薬(抗不安薬含む)、三叉神経損傷 |
| **分泌低下型** | ホルモン異常・代謝異常 | 糖尿病、脱水、甲状腺機能亢進症 |
| **開口障害型** | 口腔清掃困難 | 放射線線維症 |
放射線唾液腺炎の特徴:
- 放射線量50Gy以上で顕著
- 治療開始2〜3週間後から症状出現
- 腺組織の線維化は不可逆的
- 人工唾液、リン酸二水素ナトリウム含漱などで対症療法
識別ポイント:
「唾液腺の**組織障害**」という指定がキー → 物理的・生物的な腺細胞破壊を探す。薬物作用や全身代謝異常は「組織障害」に該当しない。