STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第27回 言語聴覚士国家試験 第173問

言語発達障害学第27回
脳性麻痺児に行うオーラルコントロールについて適切でないのはどれか。 a.ロ腔周辺の感覚運動機能を促進するために行う。 b.下顎、舌、ロ唇、頬の分離協調運動の促進のために行う。 c.摂食嚥下指導のときのみ行う。 d.側方から実施するときは、親指は顎の側方、人さし指は上唇の上、中指は下唇の下にあてる。 e.顎の開閉の安定を保っために行う。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:4番

解説
■ 正答:4番 — c, d 脳性麻痺児に対するオーラルコントロール(顎のコントロール)は、摂食嚥下だけでなく多様な場面で用いられる技法であり、指の配置にも正確な知識が求められる。cは「のみ」という限定が誤り、dは指の配置の説明が誤っている。 --- 【各選択肢の解説】 a. 口腔周辺の感覚運動機能を促進するために行う ✅ 正しい。脳性麻痺児では口腔周辺の過敏や筋緊張異常がみられやすく、オーラルコントロールによって感覚過敏を軽減しながら正常な筋緊張へ近づけ、感覚・運動の両面から機能を促進する。 b. 下顎、舌、口唇、頬の分離協調運動の促進のために行う ✅ 正しい。脳性麻痺児では下顎・舌・口唇・頬が連合して動きやすいため、下顎を外部からサポートして安定させることで、舌や口唇の分離した独立運動を引き出しやすくなる。 c. 摂食嚥下指導のときのみ行う ❌ 誤り。オーラルコントロールは摂食嚥下場面に限らず、発声・構音訓練、流涎コントロール、口腔ケア、日常的な遊びの場面など幅広い場面で活用される。「のみ」という限定が誤りの核心である。 d. 側方から実施するときは、親指は顎の側方、人さし指は上唇の上、中指は下唇の下にあてる ❌ 誤り。指の配置の説明が誤っている。側方からの正しい配置は、**親指→顎関節周辺・頬(下顎の側方偏位を防ぐ)**、**人差し指→下唇の下(下唇とオトガイの間)**、**中指→顎下部(舌根部)**である。人差し指を上唇の上にあてると鼻呼吸を阻害し、また正確な下顎コントロールができない。 e. 顎の開閉の安定を保つために行う ✅ 正しい。摂食嚥下・発声・構音のいずれにおいても下顎の安定は基盤となる。オーラルコントロールにより顎の開閉を安定させることで、それらの機能発揮を支援する。 --- 【試験対策ポイント】 **オーラルコントロールの目的(5つを整理)** | 目的 | 補足 | |---|---| | 口腔周辺の感覚運動機能の促進 | 過敏の軽減・筋緊張の正常化 | | 分離協調運動の促進 | 下顎安定により舌・口唇が独立して動けるようになる | | 下顎の開閉安定 | 摂食・発声・構音の基盤 | | 流涎コントロール | 口唇閉鎖の補助 | | 多様な場面での活用 | 摂食・発声・口腔ケア・遊びなど | **側方アプローチの指配置(頻出)** - 親指:顎関節周辺・頬(下顎の側方偏位を防ぐ) - 人差し指:下唇の下(下唇とオトガイの間) - 中指:顎下部(舌根部) 「人差し指を上唇の上にあてる」という誤りの記述は鼻呼吸の阻害に直結するため、試験でも繰り返し問われる。正確な配置を図と合わせて確認しておくこと。 **脳性麻痺と構音・嚥下の関係** 脳性麻痺(特に痙直型やアテトーゼ型)では下顎の安定性が低く、連合運動が強いため、舌・口唇・頬が分離して動きにくい。オーラルコントロールはこの分離運動を外部サポートによって引き出す基本的アプローチとして位置づけられる。
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