第27回 言語聴覚士国家試験 第178問
機能性構音障害第27回
鼻咽腔閉鎖機能不全の代償構音はどれか。
a.声門破裂音
b.ロ蓋化構音
c.鼻咽腔構音
d.側音化構音
e.咽頭摩擦音
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — a,e(声門破裂音と咽頭摩擦音)
鼻咽腔閉鎖機能不全では、口腔内で十分な圧力が構成できないため、それを補う代償構音として「声門での閉鎖」または「咽頭部での摩擦」により気流遮断・調節を行います。声門破裂音と咽頭摩擦音は、どちらも通常の発音部位よりも奥(喉頭・咽頭)で音を作ることで、鼻咽腔からの漏気に対応する戦略です。
---
【各選択肢の解説】
a. 声門破裂音
❌ 正しい。声門での閉鎖を利用して気流遮断を行う代償構音。口腔内に圧力がなくても声門で気流制御ができるため、鼻咽腔閉鎖不全の患者が無意識に採用する典型的な代償戦略。
b. 口蓋化構音
❌ 誤り。口蓋に舌を接触させる発音方法で、これは「音が変わる」ことが目的(例:sが∫になる)。鼻咽腔閉鎖不全への直接的な代償ではない。音響特性を変えるだけで、漏気問題を解決しない。
c. 鼻咽腔構音
❌ 誤り。鼻咽腔が狭い場所で音を作る構音。これは「逆に鼻咽腔を利用する」もので、閉鎖不全を補うのではなく別の異常構音である。混同しやすいが、代償ではなく適応不全の一種。
d. 側音化構音
❌ 誤り。舌側部から気流を逃す構音で、むしろ「気流制御の失敗」。鼻咽腔閉鎖不全とは無関係の異常構音。閉鎖不全患者が採用する戦略ではない。
e. 咽頭摩擦音
✅ 正しい。咽頭部で狭窄を作り摩擦音として音を生成する代償構音。喉頭より奥で音を作ることで、鼻咽腔からの漏気があっても音響を保つことができる。声門破裂音と同じ「後退化」戦略の一例。
---
【試験対策ポイント】
代償構音の本質:鼻咽腔閉鎖不全では「口腔内で圧力が保てない」→「より奥(喉頭・咽頭)で気流制御」
| 代償構音 | メカニズム | 判定 |
|---|---|---|
| 声門破裂音 | 声門で気流遮断 | 代償(圧力を喉頭で補う) |
| 咽頭摩擦音 | 咽頭で摩擦 | 代償(摩擦を喉頭部で代行) |
| 口蓋化 | 音響特性変化(s→∫) | 代償ではない(別の異常) |
| 鼻咽腔構音 | 鼻咽腔で構音 | 代償ではない(部位間違い) |
| 側音化 | 側部から気流逸脱 | 代償ではない(制御不全) |
頻出フレーム:
- 声門破裂音・咽頭摩擦音=後退化(より後ろで構音)=閉鎖不全への代償
- 口蓋化・側音化・鼻咽腔構音=別の異常(代償ではなく適応不全)