第27回 言語聴覚士国家試験 第179問
器質性構音障害第27回
ロ蓋裂の術後合併症でないのはどれか。
- 1.開鼻声
- 2.下顎隆起 ✓
- 3.ロ腔鼻腔瘻
- 4.滲出性中耳炎
- 5.上顎発育抑制
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — 下顎隆起
口蓋裂の術後合併症は、手術による瘢痕形成や口蓋挙筋の再構成の不完全さから生じます。下顎隆起は口蓋裂とは直接関係のない解剖学的変異であり、術後合併症ではありません。
---
【各選択肢の解説】
1. 開鼻声
✅ 正しい。口蓋挙筋や口蓋咽頭筋の機能が不十分な場合、鼻咽腔閉鎖が不完全となり、/p/や/b/などの口腔圧が必要な音が鼻腔へ漏出して開鼻声が生じます。術後でも緊張低下やいきみによって発生することがあります。
2. 下顎隆起
❌ 誤り。下顎隆起は下顎骨内側の隆起で、加齢による骨代謝亢進や遺伝的素因によって生じる生理的変異です。口蓋裂の手術と無関係であり、術後合併症ではありません。
3. 口腔鼻腔瘻
✅ 正しい。手術での口蓋の一次閉鎖が不完全な場合や、術後の瘢痕治癒過程で組織が脱落した場合に、口腔と鼻腔が交通する瘻孔が形成されます。これは開鼻声や食物・液体の鼻腔逆流の原因となります。
4. 滲出性中耳炎
✅ 正しい。口蓋裂患者は耳管機能障害を伴うため、術後も滲出性中耳炎の合併リスクが高いです。口蓋挙筋が異常付着しているため、たとえ一次手術後でも耳管の開閉機能が十分に改善しないことが多いです。
5. 上顎発育抑制
✅ 正しい。口蓋裂の一次手術時に瘢痕が形成されると、その瘢痕組織が上顎骨の成長を物理的に制限します。成長期に進行性の上顎発育抑制(上下顎骨の相対的な関係異常)が生じることが知られています。
---
【試験対策ポイント】
口蓋裂術後合併症の整理:
| 合併症 | 発症時期 | 原因 |
|---|---|---|
| 開鼻声 | 術直後~晩期 | 鼻咽腔閉鎖不全 |
| 口腔鼻腔瘻 | 術直後~3年 | 瘻孔形成 |
| 滲出性中耳炎 | 術前~晩期 | 耳管機能障害(解剖学的異常の残存) |
| 上顎発育抑制 | 成長期(5~20歳) | 瘻痕による機械的制限 |
下顎隆起の知識:
- 定義:下顎骨内側中線部の限局性隆起
- 性質:生理的変異であり病的ではない
- 頻度:人口の10~35%
- 原因:遺伝、加齢、骨代謝亢進
- 口蓋裂とは無関係
重要な否定知識:
下顎隆起は口蓋裂の「術後合併症」ではなく、「術前から存在する可能性のある解剖学的変異」です。問題の問い方が「術後合併症でないのはどれか」という「正しい選択肢を選ぶ形式」であるため、この選択肢が正答となります。