第27回 言語聴覚士国家試験 第200問
補聴器・人工内耳第27回
9歳の女児。通常の学級に在籍し人工内耳を装用している。保護者から担任教諭あてに学校生活中の聞き取りが困難との訴えがあった。
環境調整として適切なのはどれか。
a.教室の席の位置を配慮する。
b.大声で話すよう児童全員に伝える。
c.保護者にノートティクをしてもらう。
d.無線補聴援助システムを用意する。
e.机や椅子の脚部にテニスポールをつける。
1. a,b,c 2. a,b,e 3. a,d,e 4. b,c,d 5. c,d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — a,d,e
学校における人工内耳装用児の聞き取り困難に対する環境調整は、「ノイズ低減」と「信号音最適化」の2つの観点から行う必要があります。適切な対応はa(座席配置で音響環境を改善)、d(無線補聴援助システムで直接音を強化)、e(背景ノイズを減らす)です。
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【各選択肢の解説】
a. 教室の席の位置を配慮する。
✅ 正しい。教室前方・教師の近くに座置することで、直接音の利得を確保し、残響や他児童の雑音の影響を最小化できます。人工内耳装用児が聞き取りやすい音響環境を整備する基本的な環境調整です。
b. 大声で話すよう児童全員に伝える。
❌ 誤り。人工内耳はマイクが周囲の音を全て拾うため、教室全体が大声になると背景ノイズが増加し、むしろ信号対雑音比(S/N比)が低下します。効果的ではなく、学級運営も混乱させます。
c. 保護者にノートティクをしてもらう。
❌ 誤り。ノートテイク(書き取り支援)は聾学生向けの支援であり、人工内耳装用児が学級に在籍している場合は聴覚を活用した学習を基本とします。保護者の関与ではなく、学校環境の改善が優先です。
d. 無線補聴援助システムを用意する。
✅ 正しい。教師がマイクを装着し、装用児が直接受信することで、距離減衰や背景ノイズの影響を回避でき、信号音が最適化されます。学校での聞き取り困難に対する有効な工学的介入です。
e. 机や椅子の脚部にテニスボールをつける。
✅ 正しい。移動時の騒音(機械的雑音)を低減でき、背景ノイズ環境を改善します。人工内耳装用児にとって学習に集中しやすい環境作りに貢献します。
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【試験対策ポイント】
人工内耳装用児の学校環境調整における優先度
| 対応方法 | 効果 | 留意点 |
|---|---|---|
| a. 座席配置 | S/N比改善(直接音利得) | 基本的調整 |
| b. 大声指導 | S/N比悪化 | 逆効果 |
| c. ノートティク | 視覚補償 | 聴覚活用の阻害 |
| d. 無線補聴援助システム | 信号音強化(距離補償) | 学校備品として推奨 |
| e. 騒音低減(テニスボール) | 背景ノイズ削減 | 簡便で有効 |
キーワード:
- 信号対雑音比(S/N比)の改善が最重要
- 人工内耳は周囲音を全て拾う→教室全体の騒音管理が必須
- 無線補聴援助システムは距離減衰を補償する唯一の方法
- 聾学生支援(ノートティク)と異なる配慮が必要