第27回 言語聴覚士国家試験 第44問
言語学第27回
「ゴミクズ(●〇〇〇)」というバンド名がある。アクセントの低い拍〇、高い拍を●で示す。説明として誤っているのはどれか。
- 1.アクセントを変えることによる派生である
- 2.アクセントを変えることによる屈折である ✓
- 3.アクセントを変えることによる語形成である
- 4.バンド名にするためにアクセントを「ゴミクズ(〇●●〇)」から変えている
- 5.「高始まり(頭高型)」は固有名詞以外でも使われる
正答:2番
解説
■ 正答:2番 — アクセントを変えることによる屈折である
「屈折」は文法的機能を担う変化(過去形・複数形など言語体系に組み込まれた規則的な変形)ですが、アクセント変更は語の文法機能を変えず、意味や語彙的性質のみを変更する「派生」に該当します。ゴミクズのアクセント変更は語形成(派生)の一種であり、屈折ではありません。
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【各選択肢の解説】
1. アクセントを変えることによる派生である
✅ 正しい。派生は既存の語から新しい語を作る変化全般を指し、アクセント変更による新語形成もこれに含まれます。バンド名「ゴミクズ」は通常アクセント〇●●〇ですが、●〇〇〇に変更することで異なる語彙項目として機能しており、派生的変化です。
2. アクセントを変えることによる屈折である
❌ 誤り。屈折は文法的カテゴリ(時制・数・格など)を表現する規則的・体系的な変化です。アクセント変更は文法機能を担わず、単に語彙的・表現的な変異を生じさせるため屈折ではなく派生です。
3. アクセントを変えることによる語形成である
✅ 正しい。派生と語形成は同義的に用いられることが多く、既存要素から新しい語を形成するプロセスです。アクセント変更は音韻的手段による語形成の一例です。
4. バンド名にするためにアクセントを「ゴミクズ(〇●●〇)」から変えている
✅ 正しい。一般語としての「ゴミクズ」のアクセント〇●●〇から、バンド名用に●〇〇〇へ意図的に変更されています。固有名詞化・ブランド化のための音韻操作です。
5. 「高始まり(頭高型)」は固有名詞以外でも使われる
✅ 正しい。頭高型アクセント(最初の拍が高く始まる型)は「雨・鶴・木」など一般名詞でも日本語に広く存在する標準的なアクセント型です。バンド名に限定されません。
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【試験対策ポイント】
| 概念 | 定義 | 文法的機能 | 例 |
|---|---|---|---|
| 屈折 | 文法範疇を表現する規則的変化 | あり(時制・格など) | 走る→走った、dog→dogs |
| 派生 | 既存語から新語を形成する変化 | なし | happy→unhappy、walk→walker |
| 語形成 | 派生と複合語を含む広い概念 | —— | 派生・複合語全般 |
重要:「アクセント変更」は意味・語彙的な変異を生じさせるが文法範疇の標示ではないため、派生に分類される。屈折との区別が命題。