第28回 言語聴覚士国家試験 第127問
心理測定法第28回
項目反応理論について正しいのはどれか。
- 1.項目間構造を確率ネットワークに基づき推定する。
- 2.学校のクラス集団などを対象とした比較的小規模なテストに適用する。
- 3.ランダムに選んだ項目を対象者に提示して得られる反応に適用する。
- 4.項目への反応に基づき能力のような潜在的特性を推論する。 ✓
- 5.項目への反応を総計して得られる総得点や各下位尺度得点に適用する。
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 項目への反応に基づき能力のような潜在的特性を推論する。
項目反応理論(IRT: Item Response Theory)は、テストの各項目(問題)への個々の回答パターンから、受検者の**潜在的な能力や特性を推定する理論**です。古典的テスト理論が「総得点」を基盤とするのに対し、IRTは「項目レベルでの反応」を直接分析し、その背景にある潜在特性(例:言語能力・理解力)を推論します。
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【各選択肢の解説】
1. 項目間構造を確率ネットワークに基づき推定する。
❌ 誤り。項目反応理論は「確率ネットワーク」ではなく、各項目に対する回答確率を**項目特性曲線(ICC: Item Characteristic Curve)**で表現します。その曲線の形状(難度・識別力・当て推量係数)から能力を推定します。
2. 学校のクラス集団などを対象とした比較的小規模なテストに適用する。
❌ 誤り。むしろ逆です。項目反応理論は**大規模で多様な標本**を必要とします。小規模なテストには古典的テスト理論が適しており、IRTは心理学的特性検査や全国規模の学力調査など、計算量が増えても統計的精度を優先する場面で活用されます。
3. ランダムに選んだ項目を対象者に提示して得られる反応に適用する。
❌ 誤り。項目反応理論は「すべての対象者が同じ項目に回答する必要がない」という利点がある一方、適用には**項目パラメータの事前推定**が必要です。完全にランダムな項目選択では、パラメータの安定性が損なわれます。ただし、**コンピュータ適応型テスト(CAT)**では段階的に項目を選択する仕組みがあります。
4. 項目への反応に基づき能力のような潜在的特性を推論する。
✅ **正しい。** これが項目反応理論の定義そのものです。個々の項目への反応パターンから、言語聴覚士国試受験者の「言語聴覚学の理解度」「医学知識の習得度」といった潜在特性を推定します。
5. 項目への反応を総計して得られる総得点や各下位尺度得点に適用する。
❌ 誤り。この説明は**古典的テスト理論**です。古典テスト理論では「合計得点」が能力の指標となります。項目反応理論は総得点を使わず、項目ごとの反応確率から能力を直接推定する点が根本的に異なります。
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【試験対策ポイント】
**項目反応理論(IRT)vs 古典的テスト理論の区別は頻出**
| 特徴 | 古典的テスト理論 | 項目反応理論(IRT) |
|---|---|---|
| 基礎データ | **総得点**(全項目の得点合計) | **項目ごとの反応**(正誤パターン) |
| 能力推定 | 総得点が高い→能力が高い | 項目特性曲線(ICC)から潜在能力を推定 |
| 適用規模 | 小~中規模テスト | 大規模テスト・多項目テスト |
| 項目の重み付け | 同じ配点 | 項目の難度・識別力に基づき異なる |
| メリット | 計算が簡単・理解しやすい | より精密な能力評価・項目の統計特性を数値化 |
| デメリット | 項目特性を個別に評価しない | 統計学的知識・大規模標本が必要 |
| 適用例 | 学校の定期テスト | 全国学力調査・国