第28回 言語聴覚士国家試験 第126問
学習心理学第28回
忘却曲線における節約率の変化について正しいのはどれか。
- 1.一度学習すると時間の経過によらず保持される。
- 2.学習後の時間の経過につれて一定の割合で減少する。
- 3.学習直後はいったん増加し、その後急速に減少する。
- 4.学習後一定期間は同程度に保持され、その後に減少する。
- 5.学習直後は急速に減少し、その後緩やかに減少する。 ✓
正答:5番
解説
# 第28回 第126問 解説
## ■ 正答:5番 — 学習直後は急速に減少し、その後緩やかに減少する。
これは**Ebbinghaus(エビングハウス)の忘却曲線**を問う基礎的な問題です。エビングハウスが自身の無意味音節学習実験から発見した忘却のパターンは、学習直後が最も忘却速度が速く、時間経過とともに忘却速度が緩和されることを示しています。正答の5番が忘却曲線の特性を正確に描写しています。
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## 【各選択肢の解説】
**1. 一度学習すると時間の経過によらず保持される。**
❌ 誤り。**完全に保持される学習は実際には存在しません**。Ebbinghaus以降の数多くの研究が、時間経過による忘却の必然性を証明しています。これを信じてしまっては学習・復習の必要性そのものが否定されてしまいます。
**2. 学習後の時間の経過につれて一定の割合で減少する。**
❌ 誤り。「一定の割合」という直線的な減少をしていません。これは**対数関数的(曲線的)な減少**です。最初は急速、後は緩やかという非線形性が忘却曲線の最大の特徴なため、この選択肢は数学的に正確ではありません。
**3. 学習直後はいったん増加し、その後急速に減少する。**
❌ 誤り。学習直後に増加することはありません。むしろ学習直後が**最も忘却速度が速い(急速に減少する)時点**です。「いったん増加」という記述が完全に反しています。
**4. 学習後一定期間は同程度に保持され、その後に減少する。**
❌ 誤り。「一定期間は同程度に保持」という**プラトー(平坦な時期)**は忘却曲線には存在しません。これは学習曲線(学習の進行)に見られる停滞期と混同しやすいですが、忘却曲線は開始直後から減少が始まります。
**5. 学習直後は急速に減少し、その後緩やかに減少する。**
✅ **正しい**。これが**Ebbinghaus忘却曲線の本質**です。学習直後24時間で約66%を忘れ、その後の減少速度が著しく低下します。この非線形性が脳の記憶メカニズムの特性を反映しており、復習タイミングの科学的根拠となっています。
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## 【試験対策ポイント】
### ■ Ebbinghaus忘却曲線の3つのキーポイント
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| **横軸** | 学習後の経過時間(分→時間→日) |
| **縦軸** | 節約率%(保持率ではなく「忘却の相対的速さ」を示す指標) |
| **曲線の形** | **指数減衰曲線(対数関数的)** ← 直線ではなく曲線が必須 |
### ■ 実験設計と結果
- **被験者**:Ebbinghaus自身
- **学習材料**:**無意味音節**(ZAB、CODなど。実生活の意味を持たない音)
- **測定方法**:学習後の特定時点で同じ無意味音節を再学習し、「再学習に要した時間短縮の割合」=**節約率**を算出
- **主要な発見**:
- 学習直後(1日以内):**66%の忘却**(節約率34%)
- 1週間後:**20%の忘却**(節約率80%)
- 1ヶ月後:**約20%の忘却を維持**(その後はほぼ変化なし)
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