第28回 言語聴覚士国家試験 第133問
生涯発達心理学第28回
幼児期の特徴でないのはどれか。
- 1.他者の思考の内容を推測し始める。
- 2.ことばで自分の行動をコントロールできる。
- 3.量の保存ができる。 ✓
- 4.二次的感情が出現する。
- 5.性の区別に目覚める。
正答:3番
解説
# 第28回 第133問 解説
■ 正答:**3番 — 量の保存ができる。**
幼児期(Piaget の前操作期:2~7歳)は、**具体的操作期(7~11歳)に入るまで量の保存ができない**ことが発達心理学の基本です。Piaget の有名な「ビーズ課題」では、同じ量の液体を背の高いコップと背の低いコップに移すと、幼児は「背の高いコップの方が多い」と判断してしまいます。これは、1つの視点(高さ)にしか注目できない「脱中心化」ができていないためです。
---
【各選択肢の解説】
1. **他者の思考の内容を推測し始める。**
✅ 正しい。3~5歳頃から「心の理論(Theory of Mind)」が発達し始め、他者が自分と異なる考えや信念を持つことを理解できるようになります。これは社会的認知発達の重要な獲得です。
2. **ことばで自分の行動をコントロールできる。**
✅ 正しい。Vygotsky が強調した「内言(内的言語化)」による行動制御は、2~3歳から顕著になります。「危ない」と自分に言い聞かせるなど、言語的自己調整が幼児期に発達します。
3. **量の保存ができる。**
❌ 誤り。**前操作期の幼児は量の保存ができません。** 可逆性(同じ状態に戻す操作)と脱中心化(複数の視点の同時注視)が未発達だからです。質量・液体・数字などの保存課題はすべて7歳以降の具体的操作期で達成されます。
4. **二次的感情が出現する。**
✅ 正しい。**羞恥心・罪悪感・誇り・嫉妬など、社会的規範に基づく感情**は、2~3歳から出現し始めます。これは自己認識の発達と社会化に伴う重要な発達です。
5. **性の区別に目覚める。**
✅ 正しい。2~3歳から男女の外見的違いに気づき始め、3~4歳には自分の性別を認識し、4~5歳までに「性の定着(gender constancy)」が形成されます。
---
【試験対策ポイント】
**Piaget の認知発達段階における「できないことの鑑別」が頻出です:**
| 段階 | 時期 | 獲得できないもの | 獲得できるもの |
|---|---|---|---|
| 感覚運動期 | 0~2歳 | 象徴機能・論理的思考 | 物体の永続性 |
| **前操作期** | **2~7歳** | **保存・脱中心化・可逆性** | 象徴遊び・初歩的分類・自己認識 |
| 具体的操作期 | 7~11歳 | 抽象的推論 | 保存・脱中心化・可逆性・論理的思考 |
| 形式的操作期 | 12歳~ | — | 仮説演繹的思考・抽象概念 |
**「保存(conservation)」の段階的獲得順序:**
1. **数の保存(5~6歳)** ← 最も早く獲得
2. **質量の保存(6~7歳)**
3. **液体量の保存(6~7歳)**
4. **体積の保存(11~12歳)** ← 最も遅い
**本問は「幼児期にできないこと」を問う頻出パターン**です。Piaget 理論における「獲得順序」と「段階ごとの制限」をマスターすることが高得点への鍵となります。