第28回 言語聴覚士国家試験 第33問
生涯発達心理学第28回
社会的参照はどれか。
- 1.養育者が乳児に共感しながら関わることで、乳児の感情を調整すること。
- 2.養育者が無表情で乳児に関わると、乳児が不安になること。
- 3.乳児が養育者の表情を見て、不確実な状況の安全性を判断すること。 ✓
- 4.新生児が人の顔のような図版を注視すること。
- 5.乳児と養育者のコミュニケーションの際、相互の視線が合うこと。
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — 乳児が養育者の表情を見て、不確実な状況の安全性を判断すること。
社会的参照(social referencing)とは、不確実または曖昧な状況に直面した乳児が、養育者など信頼できる他者の**表情や行動から情動的な手がかりを得て、その状況の安全性を判断する現象**です。乳児が、親の顔を見て「これは安全か?危険か?」という情報を収集し、それに基づいて自分の行動を決める発達的プロセスです。典型例として、Sorgら(1985)による**視崖実験の変法**:乳児が親元から一定距離離れた場所に親が座り、親が笑顔で安心な様子を見せると乳児は視崖を渡ろうとし、親が恐れた表情を見せると乳児は渡ろうとしない、という結果があります。
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【各選択肢の解説】
1. 養育者が乳児に共感しながら関わることで、乳児の感情を調整すること
❌ 誤り。これは**感情調整**(emotion regulation)の説明です。社会的参照とは異なります。乳児が不確実な状況で養育者からの情動的手がかりを**参照する**ことが社会的参照であり、乳児自身の既存感情を調整することではありません。
2. 養育者が無表情で乳児に関わると、乳児が不安になること
❌ �り。これは養育者の反応性(responsiveness)の欠如による**乳幼児への悪影響**の説明です。「視覚的な崖実験の変法」で親が無表情を見せるシナリオと類似していますが、社会的参照の定義そのものではありません。社会的参照は「判断の**基準**として参照される過程」であり、単に親の表情が乳児の感情に影響を与えることとは異なります。
3. 乳児が養育者の表情を見て、不確実な状況の安全性を判断すること
✅ 正しい。これが社会的参照の定義です。乳児は生後6〜10か月頃から、親の顔を見て情動的な情報を読み取り、その状況への対処を決める能力を示すようになります。
4. 新生児が人の顔のような図版を注視すること
❌ 誤り。これは**顔への注視傾向**(face preference)の説明です。新生児は生まれつき顔のような刺激に注意を向けやすいという知覚的特性を示しています。社会的参照のように「親の**表情から情動的な情報を抽出し判断に用いる**」という認知的プロセスは含まれていません。
5. 乳児と養育者のコミュニケーションの際、相互の視線が合うこと
❌ 誤り。これは**視線接触**(eye contact)または**アイコンタクト**の説明です。相互的な視線が合うことは社会的参照の前提となる可能性がありますが、社会的参照そのものではありません。社会的参照は、単なる視線接触を超えて、**親の表情から情動的なメッセージを読み取り、不確実な状況の解釈や行動決定に反映させる**複雑な認知的プロセスです。
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【試験対策ポイント】
**社会的参照の5つの重要特性**(これを覚えると確実に区別できます):
1. **時期**:生後6〜10か月頃から顕著になる(視崖実験は通常12か月以降の乳児を対象)
2. **対象**:不確実または曖昧な状況において発動される(玩具が怖いのか?崖は危ないのか?など)
3. **参照先**:愛着形成されている養育者(特に親)の顔・表情・行動
4. **情報