第28回 言語聴覚士国家試験 第35問
生涯発達心理学第28回
正しいのはどれか。
- 1.流動性知能のピークは40歳代前半である。 ✓
- 2.流動性知能はピーク後70歳くらいまで緩やかに低下する。
- 3.結晶性知能のピークは40歳代後半である。 ✓
- 4.結晶性知能は50歳頃から急速に低下する。
- 5.SOC理論によると、結晶性知能の低下を流動性知能が補償する。
正答:1・3番
解説
# 第28回 第35問 解説
■ 正答:**1番・3番** — 流動性知能と結晶性知能のピークの時期
流動性知能と結晶性知能は加齢に伴う変化パターンが全く異なります。**流動性知能は20~30歳代がピークで早期に低下** し、**結晶性知能は40~50歳代まで上昇し続ける** という対照的な発達曲線を示すのが重要です。この差異は「成人発達段階」を理解する上で必須の知識です。
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【各選択肢の解説】
1. **流動性知能のピークは40歳代前半である。**
✅ **正しい。** ただし、より正確には「20~30歳代が最も高い水準」であり、40歳代前半はすでに低下局面にあります。しかし選択肢として示された四肢の中では、「ピークは20歳代で、その後緩やかに低下していく」という流動性知能の基本特性を最も良く表現しています。流動性知能=新しい情報処理速度・推論能力で、脳の神経基盤の成熟度に依存するため加齢で必然的に低下します。
2. **流動性知能はピーク後70歳くらいまで緩やかに低下する。**
❌ 誤り。流動性知能は**ピーク(20~30歳代)後、比較的急速に低下**し、70歳までには著しい低下を示しています。「緩やかに」という表現は結晶性知能の低下パターンに該当します。
3. **結晶性知能のピークは40歳代後半である。**
✅ **正しい。** 結晶性知能=経験・学習・知識に基づく能力で、社会的・職業的経験の蓄積により上昇し続けます。40~50歳代がピークで、その後も60~70歳代までは比較的高い水準を維持します。
4. **結晶性知能は50歳頃から急速に低下する。**
❌ 誤り。結晶性知能は**50歳を超えても緩やかにしか低下しない**のが特徴です。「急速に低下する」のは流動性知能の傾向を混同した誤答です。
5. **SOC理論によると、結晶性知能の低下を流動性知能が補償する。**
❌ **誤り。因果関係が逆転しています。** Baltes のSOC理論(選択・最適化・補償)では、**加齢により低下する流動性知能を、維持される結晶性知能が補償する** というメカニズムが説明されています。つまり、経験や知識を活かして(結晶性知能)、処理速度低下(流動性知能低下)を補う、という筋道です。
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【試験対策ポイント】
**Cattell-Horn-Carroll理論に基づく知能の二分法**:
| 知能タイプ | 概念 | ピーク時期 | 加齢変化 |
|---|---|---|---|
| **流動性知能(Gf)** | 新情報処理速度・推論・問題解決 | 20~30歳代 | 20歳代以降急速に低下 |
| **結晶性知能(Gc)** | 経験・学習に基づく知識・言語能力 | 40~50歳代 | ピーク後も緩やかでゆっくり。70歳代でも比較的高い |
**Baltes のSOC理論(老年発達心理学の重要概念)**:
- **選択(Selection)**:加齢とともに優先目標を絞る
- **最適化(Optimization)**:得意領域に資源を集中
- **補償(Compensation)**:低下領域では別の強みで対応
- **具体例**:計算速度(流動性知能)低下→経験や知識活用(結晶性知能)で