第28回 言語聴覚士国家試験 第14問
臨床神経学第28回
右利きの78歳の男性。失語症と右顔面を含む右上下肢の運動障害が出現した。責任血管はどれか。
- 1.左前大脳動脈
- 2.左椎骨動脈
- 3.左後大脳動脈
- 4.左レンズ核線条体動脈 ✓
- 5.左中大脳動脈 ✓
正答:4・5番
解説
# 第28回 第14問 解説
⚠️ この問題は4番と5番が正答として処理されています。
■ 正答:4番・5番 — 左レンズ核線条体動脈/左中大脳動脈
失語症(言語機能障害)と右顔面を含む右上下肢の運動障害という組み合わせは、**左大脳半球の梗塞**を示唆します。右利きの患者では言語優位半球が左にあるため、失語症の出現が決め手になります。左中大脳動脈(MCA)本幹の閉塞では言語野(ブローカ野・ウェルニッケ野)と内包後脚を含む広い領域が障害され、失語+右片麻痺を呈します。また、MCAの穿通枝である左レンズ核線条体動脈の閉塞でも、内包後脚・被殻への血流が遮断され、右片麻痺に加え皮質下性失語を呈しうるため、両者とも正答とされました。
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【各選択肢の解説】
1. 左前大脳動脈
❌ 誤り。ACAは前頭葉内側面と補足運動野を支配し、**下肢優位の片麻痺**が特徴です。失語症は原則として生じません。
2. 左椎骨動脈
❌ 誤り。椎骨動脈は延髄外側などを灌流し、**Wallenberg症候群**(温痛覚障害・嚥下障害・Horner徴候など)の原因となります。失語は生じません。
3. 左後大脳動脈
❌ 誤り。PCAは後頭葉・側頭葉内側を支配し、**同名半盲**が典型症状です。運動野を含まないため、顔面・上下肢の片麻痺は通常生じません。
4. 左レンズ核線条体動脈
✅ 正しい。MCAから分岐する穿通枝で、**内包後脚・被殻・尾状核**を灌流します。閉塞により対側(右)の顔面・上下肢の片麻痺が生じ、被殻・内包領域の障害では**皮質下性失語**を呈することがあります。
5. 左中大脳動脈
✅ 正しい。MCA本幹または皮質枝の閉塞により、**ブローカ野・ウェルニッケ野**(→失語症)と**内包後脚**(→対側片麻痺)が同時に障害されます。本症例の臨床像に最も合致します。
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【試験対策ポイント】
**① 失語症と脳動脈の対応**
| 失語症タイプ | 責任病巣 | 責任血管 |
|---|---|---|
| Broca失語 | 左下前頭回(BA44/45) | **MCA上枝** |
| Wernicke失語 | 左上側頭回後部(BA22) | **MCA下枝** |
| 全失語 | MCA領域全体 | **MCA本幹** |
| 皮質下性失語 | 被殻・視床・内包 | **レンズ核線条体動脈** |
**② 脳動脈と片麻痺の分布**
- ACA → **下肢優位**の対側麻痺
- MCA → **顔面・上肢優位**の対側麻痺
- レンズ核線条体動脈 → 内包後脚障害により**顔面・上下肢均等**の対側麻痺
**③ 「右利き」の意味**
右利き者はほぼ100%、左利き者でも約70%が**左半球が言語優位**。失語症があれば左半球病変を疑う。