第28回 言語聴覚士国家試験 第4問
臨床神経学第28回
動眼神経麻痺でみられない症状はどれか。
- 1.散瞳
- 2.内転障害
- 3.外転障害 ✓
- 4.上転障害
- 5.下転障害
正答:3番
解説
# 第28回 第4問 解説
■ 正答:**3番 — 外転障害**
動眼神経(第Ⅲ脳神経)は、眼球外筋のうち**内側直筋・上直筋・下直筋・下斜筋**と瞳孔散大筋(散瞳には関与しない)・毛様体筋を支配します。外転筋である外側直筋は**外転神経(第Ⅵ脳神経)**が支配するため、動眼神経麻痺では外転障害は生じません。一方、瞳孔散大は交感神経が担当するため、動眼神経麻痺では瞳孔が散大するのではなく、反対に副交感神経(動眼神経副交感線維)の作用が優位となり瞳孔が散大しない状態になります。ただし、選択肢の「散瞳」は動眼神経麻痺時に相対的に見られる所見(瞳孔散大が阻害される)として正しい表現です。
---
【各選択肢の解説】
**1. 散瞳**
✅ **正しい。** 動眼神経麻痺では動眼神経副交感線維(瞳孔括約筋支配)が障害されるため、交感神経の作用が相対的に優位となり瞳孔が散大(散瞳)します。最も初期の兆候です。
**2. 内転障害**
✅ **正しい。** 内側直筋は動眼神経が支配する最も重要な筋です。麻痺により患眼が外向位(外転位)に固定され、正面視時に内転ができなくなります。
**3. 外転障害**
❌ **誤り。これが正答です。** 外転を担当する外側直筋は**外転神経(第Ⅵ脳神経)**が支配するため、動眼神経麻痺では外転機能は保たれます。むしろ内側直筋の麻痺により患眼が外転位に偏位するため、一見「外転が保たれている」ように見えます。
**4. 上転障害**
✅ **正しい。** 上直筋は動眼神経が支配するため、麻痺により上転障害が生じます。特に患側眼で「上」への視線が困難になります。
**5. 下転障害**
✅ **正しい。** 下直筋も動眼神経が支配するため、麻痺により下転障害が生じます。患側眼の下方への視線移動が困難になります。
---
【試験対策ポイント】
**12脳神経と眼球運動支配の整理が必須**です:
| 脳神経 | 支配筋 | 主な機能 |
|---|---|---|
| **Ⅲ 動眼神経** | 内側直筋・上直筋・下直筋・下斜筋 | 内転・上転・下転・副交感線維(瞳孔縮小) |
| **Ⅳ 滑車神経** | 上斜筋のみ | 下内転・頭部回旋時の眼球反転 |
| **Ⅵ 外転神経** | 外側直筋のみ | **外転のみ** |
**頻出パターン**:
- 「外転障害が**ない**」=動眼神経麻痺の判定基準
- 「外転のみ障害」=外転神経麻痺
- 「上斜筋麻痺(下内転困難)」=滑車神経麻痺
- 動眼神経麻痺の臨床像:患眼が「外転位・下転位」で固定(下斜筋と内側直筋が動く筋の中では最も弱い)
**解剖学的国試頻出ポイント**:動眼神経の副交感線維は瞳孔括約筋(縮瞳)を