第28回 言語聴覚士国家試験 第119問
臨床神経学第28回
錐体路の障害でみられるのはどれか。
- 1.振戦
- 2.排尿障害
- 3.腱反射消失
- 4.深部感覚障害
- 5.バビンスキー徴候 ✓
正答:5番
解説
# 第28回 119問 臨床神経学 解説
■ 正答:**5番 — バビンスキー徴候**
バビンスキー徴候(Babinski sign)は、錐体路障害を示す最も重要な病的反射です。足底の外側を爪で刺激すると、正常では足趾が屈曲しますが、錐体路障害では大趾が背屈(反り返る)し、他の足趾が開く反応が出現します。これは上位運動ニューロンの障害を示す決定的な所見であり、脳卒中などの脳・脊髄の病変診断に用いられます。
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【各選択肢の解説】
**1. 振戦**
❌ **誤り**。振戦は**大脳基底核障害(錐体外路システム)**の特徴です。パーキンソン病の「安静時振戦」や本態性振戦(意図的振戦)が代表例。錐体路障害では振戦は生じません。
**2. 排尿障害**
❌ **誤り**。排尿障害は**脊髄馬尾部の障害**(膀胱の副交感神経支配の障害)で生じます。脊髄圧迫症や馬尾症候群などで見られ、錐体路単独の障害では通常起こりません。
**3. 腱反射消失**
❌ **誤り**。腱反射消失は**下位運動ニューロン障害(末梢神経・脊髄前角細胞の障害)**の特徴です。ギラン・バレー症候群や筋萎縮性側索硬化症(ALS)の初期などで見られます。錐体路障害では反対に**腱反射が亢進**します。
**4. 深部感覚障害**
❌ **誤り**。深部感覚障害は**脊髄後索(脊髄と脳の感覚伝導路)の損傷**で生じます。錐体路は**運動**に関わるため、錐体路障害単独では深部感覚障害は現れません。ただし、脳卒中では皮質領域が広く、感覚野も巻き込むと感覚障害も合併することはあります。
**5. バビンスキー徴候** ✅
**正しい**。足底外側への刺激に対し大趾背屈+足趾開大。上位運動ニューロン(錐体路)損傷の病的反射であり、脳卒中・脊髄損傷・脳腫瘍の診断に不可欠な所見です。
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【試験対策ポイント】
**錐体路と錐体外路の徴候の区別は国試頻出**。以下のマトリックスで整理してください:
| 障害部位・疾患 | 筋緊張 | 腱反射 | 随意運動 | 病的反射 | 代表的な症状 |
|---|---|---|---|---|---|
| **上位運動ニューロン(錐体路)** | ↑亢進(痙性) | ↑亢進 | ↓低下(但し筋力> | バビンスキー徴号 | 痙性麻痺・痙性構音障害 |
| **下位運動ニューロン(末梢神経)** | ↓低下(弛緩) | ↓消失 | ↓↓↓著しく低下 | 消失 | 弛緩性麻痺・萎縮・線維束性収縮 |
| **錐体外路(基底核)** | 可変 | 正常 | 不随意運動 | 正常 | 振戦・無動・筋強剛・ジスキネジア |
| **小脳** | 低下 | 正常〜亢進 | 失調(不協調) | 正常 | 断綴性発話・眼振 |
**バビンスキー徴候の臨床的意義