STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第169問

言語発達障害学第28回
5歳の女児。小児失語症。適切でない評価はどれか。 a.J.COSS b.新版構文検査 小児版 c.PVT-R d.LCSA e.SCTAW 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:5番

解説
# 第28回 第169問 解説 ■ 正答:5番 — **d,e** 小児失語症の評価では、失語症の言語症状(特に言語理解と表出の特定の領域の障害)を対象とした検査を選択することが重要です。問題の検査群から、小児失語症の評価として**不適切な検査はd(LCSA)とe(SCTAW)**です。小児失語症の評価に適さない理由は、これらが言語発達障害や音韻障害の評価を目的としており、失語症固有の言語体系の崩壊を測定していないためです。 --- ## 【各選択肢の解説】 **a. J.COSS(小児版構音検査)** ✅ 適切。小児失語症でも構音運動の障害の有無を鑑別するために使用可能。失語症か構音障害かの区別に有用 **b. 新版構文検査 小児版** ✅ 適切。文法理解(統語処理)の障害を評価する。Broca失語の失文法症を検出するのに特に有用 **c. PVT-R(絵画語彙検査・改訂版)** ✅ 適切。語彙理解の程度を定量化。失語症患者の聴理解レベルの評価に頻用される心理言語学的検査 **d. LCSA(言語学習適性診断検査)** ❌ 不適切。学習適性(学習能力の潜在的可能性)を測定する検査であり、言語障害そのものの評価を目的としていない。発達障害児の学習指導方針の決定に用いられる **e. SCTAW(スクリーニング検査:言語発達遅滞児向け)** ❌ 不適切。言語発達遅滞(正常発達からの遅れ)のスクリーニングを目的とした検査。失語症(既に獲得した言語機能の喪失)とは病態が異なり、評価対象の言語現象が異なる --- ## 【試験対策ポイント】 **小児失語症と言語発達遅滞の鑑別:** | 区分 | 小児失語症 | 言語発達遅滞 | |---|---|---| | 発症形式 | 獲得後の**突発的喪失**(頭部外傷・脳炎など) | **加齢的に遅行**する発達パターン | | 言語機能の特徴 | 言語体系の崩壊(失語症的症状:錯語・復唱障害) | 発達段階に応じた正常な言語体系で、量的に少ない | | 評価検査の選択 | **失語症検査**(SLTA小児版・新版構文検査など) | **発達検査**(津守式乳幼児精神発達検査・遠城寺式など) | **失語症評価に必須の3観点(流暢性・復唱・理解):** - **J.COSS**:構音の運動的側面を評価(失語症か構音障害かの鑑別に有用) - **新版構文検査**:統語(文法)理解の障害を検出。Broca失語の失文法症に敏感 - **PVT-R**:語彙理解の程度を定量化。軽度失語症の語彙処理障害を検出 - **復唱検査**:弓状束損傷の指標。伝導失語の診断に特異的 **評価選択の原則:** - 失語症患者には「失語症検査」を用いる - 発達遅滞児には「発達検査」を用いる - 学習適性測定(LCSA)や発達スクリーニング(SCTAW)は**言語障害の質的評価には不適切** - 失語症の有無が曖昧な場合は、**復唱能力の低下**(両側弧状束損傷)が失語
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