第28回 言語聴覚士国家試験 第187問
吃音第28回
流暢性障害への対応で誤っているのはどれか。
- 1.クラタリング - リッカムプログラム ✓
- 2.神経原性吃音 - ペーシングボード
- 3.心因性吃音 - カウンセリング
- 4.幼児期の発達性吃音 - 環境調整
- 5.学童期の発達性吃音 - 流暢性形成法
正答:1番
解説
# 第28回 第187問 解説
## ■ 正答:1番 — クラタリング - リッカムプログラム
クラタリングへのリッカムプログラムは適切ではありません。リッカムプログラムは「発達性吃音」に対する言語的随伴刺激を用いた行動療法的アプローチですが、クラタリングの主な治療目標は「発話速度の低下」と「話の再編成」であり、別のアプローチが必要です。
---
## 【各選択肢の解説】
**1. クラタリング - リッカムプログラム**
❌ **誤り**。クラタリングは吃音とは異なる流暢性障害で、**発話速度が速すぎることと話の構成が不規則**な特徴があります。治療は「速度制御」や「思考の整理訓練」が中心であり、吃音に特化したリッカムプログラム(言語的随伴刺激)は不適切です。
**2. 神経原性吃音 - ペーシングボード**
✅ **正しい**。神経原性吃音(獲得性吃音)は脳損傷後に発症した吃音で、パーキンソン病やALS等での発話速度の制御困難に対して、ペーシングボード(視覚的に発話速度を調整する支援機器)は効果的です。
**3. 心因性吃音 - カウンセリング**
✅ **正しい**。心因性吃音は心理的ストレスが主要な要因であるため、カウンセリングにより不安軽減・ストレス対処法の習得が治療の中心になります。
**4. 幼児期の発達性吃音 - 環境調整**
✅ **正しい**。発達性吃音の幼児期(2~5歳)は**自然治癒率が約80%**と高いため、医学的対応よりも環境調整(話を途中で邪魔しない・話しやすい雰囲気の形成・親への養育指導)が優先されます。
**5. 学童期の発達性吃音 - 流暢性形成法**
✅ **正しい**。学童期(6歳以降)でも自然治癒の可能性がありますが、もし訓練が必要な場合は、**流暢性形成法**(正常な発話パターンを形成し般化させる操作的アプローチ)が標準的です。
---
## 【試験対策ポイント】
### ■ 流暢性障害の3大分類と対応
| 流暢性障害の種類 | 定義・特徴 | 適切な対応 |
|---|---|---|
| **吃音**(Stuttering) | 音/音節の連発・伸発・ブロック。予期不安・回避行動・随伴行動を伴う | 発達段階で異なる:幼児=環境調整、学童=流暢性形成法 |
| **クラタリング**(Cluttering) | 発話速度が速すぎて不明瞭。話の構成が不規則。予期不安がない | 速度制御訓練・思考の整理訓練。リッカムプログラムは不適応 |
| **神経原性吃音**(Neurogenic Stuttering) | 脳損傷後に獲得。適応効果や予期不安が少ない | ペーシングボード・メトロノーム・発話速度制御訓練 |
### ■ 発達性吃音の段階的対応
**幼児期(2~5歳、就学前)**
- **対応**:環境調整が最優先
- **内容**:話を途中で邪魔しない、会話のテンポを落とす、話しやすい家族雰囲気の醸成、親への養育指導
- **理由**:自然治癒率が約80%と極めて高い
**学童期(6歳以上)**
- **対応