第28回 言語聴覚士国家試験 第186問
言語発達障害学第28回
自閉スペクトラム症の疑いのある吃音児の訓練について適切でないのはどれか。
- 1.環境調整が必要である。
- 2.吃音の状態に応じて訓練手順を変える。
- 3.認知や言語の発達レベルを把握する。
- 4.自閉スペクトラム症の特性を踏まえた対応が必要である。
- 5.自閉スペクトラム症の確定診断後に開始する。 ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — 自閉スペクトラム症の確定診断後に開始する。
自閉スペクトラム症(ASD)が疑われている段階で吃音訓練を延期することは、吃音の早期介入の機会を失い、症状の定着化や予期不安の増加につながる危険性があります。**疑いの段階でも、吃音に対する適切な支援は直ちに開始すべき**です。むしろ、ASDの診断プロセスと吃音訓練は並行して進めることが臨床実践の標準です。
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【各選択肢の解説】
1. 環境調整が必要である。
✅ 正しい。ASD児は環境の変化や不安に敏感です。言語指導環境を落ち着いた一貫性のある場所に設定し、**予測可能なルーティンを整備する**ことで、不安軽減と訓練への協力性が向上します。吃音自体も環境ストレスで悪化する傾向があるため、環境調整は両側面で有効です。
2. 吃音の状態に応じて訓練手順を変える。
✅ 正しい。連発・伸発・ブロックという中核症状の出現パターンや重症度は個人差が大きいため、**個別の吃音型に合わせた柔軟な訓練設計**が重要です。ASD児の場合、さらに同時性構音障害などを合併する可能性も考慮する必要があります。
3. 認知や言語の発達レベルを把握する。
✅ 正しい。ASD児の中には全般的な発達遅滞を伴う例と平均的認知を持つ例が混在します。**訓練の難度設定、指示理解の方法、強化子の選択**など、全ての療育内容が発達レベルに依存するため、初期評価で把握することは絶対不可欠です。
4. 自閉スペクトラム症の特性を踏まえた対応が必要である。
✅ 正しい。ASD児は①**社会的相互作用の困難**(対人関係への関心低下・アイコンタクト回避)②**限定された反復的な関心と行動**③**感覚過敏**(音声フィードバックへの不快感など)を示すため、訓練者は以下の対応が必須です:
- 曖昧な指示を避け、具体的で視覚的な手順提示(PECSやスケジュールボード)
- 感覚刺激への配慮(声量・速度の調整)
- 強化子は対人的報酬ではなく好みの活動や物質を活用
- ロールプレイより実行動を伴う訓練を優先
5. 自閉スペクトラム症の確定診断後に開始する。
❌ **誤り。これが不適切な対応です。** 理由:
- **早期介入の重要性**:吃音は発症後2〜5年で就学前までに8割が自然治癒しますが、不適切な対応や予期不安が増幅されると治癒率は低下します。診断待ちで支援を遅延させることは吃音の予後を悪化させる危険性があります
- **並行支援が標準実践**:ASDの診断は3〜5歳以降でなされることが多く、その間も吃音症状の進行リスクが継続します。疑いの段階での早期支援は最も有効です
- **吃音とASDの関連性**:吃音児にはASDの特性を持つ子が相対的に高頻度で存在しますが、吃音そのものはASD固有の症状ではなく、ASD診断の有無にかかわらず独立して対応が必要です
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【試験対策ポイント】
**吃音と発達障害の関連性**:ASD児の吃音は「不安