第28回 言語聴覚士国家試験 第88問
吃音第28回
自己の吃音に向きあうことを目的とするのはどれか。
a.環境面への配慮
b.流暢性形成法
c.マインドフルネス
d.メンタルリハーサル
e.DCM (Demands and Capacities Model)
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
# 第28回 第88問 解説
■ 正答:4番 — c. マインドフルネス、d. メンタルリハーサル
吃音の治療・管理には、**発話の流暢性そのものを改善する方法**と**吃音との向き合い方や心理的対処を扱う方法**の大きく2つの枠組みがあります。問題は「自己の吃音に向きあうこと」という心理的・認知的側面に焦点を当てているため、選択肢をこの観点から判断します。
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【各選択肢の解説】
**a. 環境面への配慮**
❌ 誤り。環境面への配慮(学校・職場の背景音低減、プレゼン時間調整など)は「外的な条件を整える」ことで発話しやすくすることを目的としており、吃音者本人が「自分の吃音と心理的に向きあう」というプロセスではありません。
**b. 流暢性形成法**
❌ 誤り。流暢性形成法(fluency shaping)は、ゆっくり話す・声門を開いておく・柔軟な音の開始など、**発話の流暢性そのものを直接的に改善する技法**です。吃音の症状軽減が目的であり、吃音に向きあう心理的プロセスではありません。
**c. マインドフルネス**
✅ 正しい。マインドフルネスは、現在の瞬間に「開かれた意識」で向き合う瞑想的アプローチです。吃音者にとっては、吃音に対する「回避」や「恐怖」を手放し、吃音が起きている瞬間を**判断なく、あるがままに観察する**ことを促します。これは「自己の吃音と向きあう」という心理的・認知的取り組みそのものです。
**d. メンタルリハーサル**
✅ 正しい。メンタルリハーサルは、発話場面を心理的に「演習」し、吃音が起きた際の対処法や心理的反応を事前にシミュレートする方法です。吃音に対する予期不安や回避行動を減らし、「吃音と付き合う自分」を心理的に準備するプロセスで、自己の吃音に向きあう認知的技法です。
**e. DCM(要求と能力のモデル)**
❌ 誤り。DCMは、言語発達期の環境要求と幼児の言語能力のミスマッチが吃音を引き起こす・悪化させるという理論モデルです。吃音の**成因説**であり、治療技法ではありません。親への指導(要求を下げる・ゆっくり話しかけるなど)に活用されますが、吃音者本人が自己の吃音と向きあうための方法ではありません。
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【試験対策ポイント】
**吃音治療アプローチの体系化**:
| アプローチ分類 | 具体例 | 対象と目的 |
|---|---|---|
| **流暢性改善型** | 流暢性形成法・リッカムプログラム | 発話技能の習得による症状軽減 |
| **吃音受容型** | マインドフルネス・認知行動療法・ACT(受容と行動)| 吃音との心理的向き合い方・対処能力向上 |
| **環境調整型** | 環境面への配慮・親への指導(DCMに基づく) | 外的ストレッサー軽減・発話負荷調整 |
**心理的側面を扱う技法の特徴**:
- **マインドフルネス**:「吃音が起きている現在」に観察的に向き合う。予期不安や回避の軽減
- **メンタルリハーサル**:発話場面をあらかじめ心理的に「走行」。緊張低下・