STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第28回 言語聴覚士国家試験 第188問

吃音第28回
吃音に対する訓練効果判定に用いないのはどれか。
  1. 1.吃症状の持続時間
  2. 2.工夫・回避の回数
  3. 3.発話語彙の親密性 ✓
  4. 4.随伴症状の重症度
  5. 5.吃音中核症状の出現頻度

正答:3番

解説
# 第28回 第188問 解説 ■ 正答:**3番** — 発話語彙の親密性 吃音に対する訓練効果判定では、**吃症状そのものの改善**を直接測定する指標が用いられます。「発話語彙の親密性(日常語か低頻度語か)」は、吃症状の出現に影響する「背景要因」であり、訓練効果を直接反映する指標ではないため使用されません。 --- ## 【各選択肢の解説】 **1. 吃症状の持続時間** ✅ 正しい。訓練前後で「連発や伸発がどのくらい短くなったか」を測定する重要な指標。秒単位で定量化可能。 **2. 工夫・回避の回数** ✅ 正しい。吃音者が難しさを感じて言葉を言い換える(「あの…その…」など)、話題回避、沈黙などの**随伴行動**の減少は、心理的改善を示す重要な指標。 **3. 発話語彙の親密性** ❌ 誤り。「猫」(親密語)は吃きやすく、「蜘蛛」(低親密語)は吃きにくいなど、語彙の親密性は吃症状に影響します。しかし、この特性は**個人の言語使用習慣**であり、訓練効果そのものではなく、むしろ訓練前の「状態評価」に用いる背景要因です。訓練効果を判定する直接的な指標ではありません。 **4. 随伴症状の重症度** ✅ 正しい。顔の歪み、頭部の不随意運動、眼球振盪などの**二次的な緊張症状**の軽減は、心理的緊張の低下を反映し、訓練効果を示す指標。 **5. 吃音中核症状の出現頻度** ✅ 正しい。「連発」「伸発」「阻止」の出現する頻度(1分間あたりの吃音の数:%SS=Stuttering-like disfluencies)は、訓練効果を量的に測定する最も基本的で客観的な指標。 --- ## 【試験対策ポイント】 **吃音の評価と訓練効果判定の構造**: | 評価カテゴリ | 具体例 | 訓練効果判定に用いるか | |---|---|---| | **中核症状(Core symptoms)** | 連発・伸発・阻止の出現頻度 | **◎ 直接的指標** | | **随伴症状(Secondary behaviors)** | 顔の歪み・頭部動揺・眼球振盪 | **◎ 心理的緊張を反映** | | **随伴行動(Avoidance behaviors)** | 言い換え・話題回避・工夫 | **◎ 行動改善を示す** | | **背景要因(Context factors)** | 親密度・話者・聴者・発話速度 | **✗ 状態評価のみ** | | **個人特性** | 語彙親密性・発話習慣 | **✗ 訓練効果判定には用いない** | **重要な区別**: - **親密性の役割**:「猫」など親密語は吃きやすく、「蜘蛛」など低親密語は吃きにくい傾向がある(Sheehan, 1955; Bloodstein & Bernstein Ratner, 2008) - しかし、これは**吃症状の「出現パターン」**を説明するもので、「訓練によってその改善がどの程度進んだか」を測定する指標ではありません - 訓練効果判定では「訓練前後で同一の言語環境下で症状がどう変わったか」を比較するため、変数となる親密性は、むしろ**統制すべき背景要因**です **吃音
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