第28回 言語聴覚士国家試験 第194問
聴力検査第28回
聴覚機能検査と疾患との組合せで適切でないのはどれか。
- 1.自記オージオメトリー - 詐聴
- 2.ABLB - 加齢性難聴 ✓
- 3.耳音響放射 - auditory neuropathy spectrum disorder
- 4.聴性脳幹反応 - 聴神経腫瘍
- 5.耳小骨筋反射 - ベル麻痺
正答:2番
解説
# 第28回 第194問 解説
■ 正答:2番 — ABLB - 加齢性難聴
ABLB(Alternate Binaural Loudness Balance test:両耳交互ラウドネスバランス検査)は、**内耳性難聴における聴覚補充現象(リクルートメント)を検出する検査**です。加齢性難聴では補充現象が必ずしも著明でなく、むしろ中枢性の処理低下が主体となるため、ABLB検査は適応外となります。
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## 【各選択肢の解説】
1. **自記オージオメトリー - 詐聴**
✅ 正しい。自記オージオメトリー(探索法・Hughson法)は音に反応する患者の行動パターンから詐聴の有無を判定できます。詐聴患者は一定の反応タイミングを示すことが多く、真の難聴患者の不規則な反応パターンと区別できます。
2. **ABLB - 加齢性難聴**
❌ 誤り。加齢性難聴は蝸牛の血管条の萎縮や有毛細胞の障害による感音難聴ですが、**補充現象(リクルートメント)は必ずしも著明ではなく、むしろ中枢性の聴覚処理機能の低下が特徴**です。ABLB検査は補充現象検出が目的であり、加齢性難聴には適応外です。
3. **耳音響放射 - auditory neuropathy spectrum disorder(ANSD)**
✅ 正しい。ANSDは内耳有毛細胞は比較的温存されるが蝸牛神経に機能障害がある病態です。有毛細胞機能が保たれているため、**OAE(耳音響放射)は正常または比較的良好に記録される**のに対し、ABRは異常を示すのが特徴です。OAEはANSD診断の重要な検査です。
4. **聴性脳幹反応 - 聴神経腫瘍**
✅ 正しい。ABR波形のうち**Ⅰ〜Ⅴ波間潜時の延長**が聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)の特徴的所見です。腫瘍による神経の圧迫と脱髄変化により、脳幹を上行する電位の伝導が遅延します。ABRはこうした小さな腫瘍の検出に有用です。
5. **耳小骨筋反射 - ベル麻痺**
✅ 正しい。ベル麻痺(末梢性顔面神経麻痺)では、**耳小骨筋反射(アブミ骨筋反射)を支配する顔面神経が障害される**ため、反射波形(acoustic reflex)の消失(反応閾値不測定)が生じます。これは顔面神経病変の診断に有用な検査です。
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## 【試験対策ポイント】
### 聴覚補充現象(リクルートメント)の理解が鍵
**リクルートメントとは**:音量が増加するに従い、健聴耳以上に大きく響いて感じられる現象。これは有毛細胞の外側毛細胞基底膜の非線形性が障害されることで生じます。
| 検査方法 | 原理・対象 | 補充現象の検出感度 |
|---|---|---|
| ABLB(両耳ラウドネスバランス) | 一側難聴のリクルートメント検出。良聴耳で設定した音と患側耳を同じ大きさに感じるまで音圧を調整。リクルートメント有→昇圧が小さい | **内耳性難聴で最も明らか** |
| SISI(Short Increment Sensitivity Index) | 小刻みな音圧変化(1dB上昇)に対する弁