PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第10問

理学療法評価学第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第10問(理学療法評価学)の正答は 3 です。図は横軸に酸素摂取量(VO2)、縦軸に二酸化炭素排出量(VCO2)をとったV-slope法のグラフです。

問題
25歳の男性。身長170 cm、体重60 kg。ランプ運動負荷試験における運動中の呼気ガス分析データを図に示す。 正しいのはどれか。
第44回午前第10問 図
  1. 1. 回帰直線の傾きは呼吸商を意味する。
  2. 2. 対象者の最大運動能力は約10 METs である。
  3. 3. 酸素摂取量が1,500 ml/min 付近に無酸素性代謝閾値(AT)がある。
  4. 4. 二酸化炭素排出量が2,500 ml/min の運動では脂肪が燃焼されやすい。
  5. 5. 最高酸素摂取量は約3,500 ml/min である。

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 酸素摂取量が1,500 ml/min 付近に無酸素性代謝閾値(AT)がある。

図は横軸に酸素摂取量(VO2)、縦軸に二酸化炭素排出量(VCO2)をとったV-slope法のグラフです。2本の回帰直線が引かれ、その交点(傾きが急になる変曲点)が酸素摂取量約1,500 ml/minの位置にあります。この屈曲点が無酸素性代謝閾値(AT)です。


【各選択肢の解説】

1. 回帰直線の傾きは呼吸商を意味する。
❌ 誤り。回帰直線の傾きはΔVCO2/ΔVO2という「変化率」で、原点を通らないため呼吸商(呼吸交換比)そのものではありません。呼吸商はある時点でのVCO2÷VO2の比です。
2. 対象者の最大運動能力は約10 METs である。
❌ 誤り。最高酸素摂取量は約3,800 ml/minで、体重60kgでは3,800÷60≒63 ml/kg/min。1 METは3.5 ml/kg/minなので63÷3.5≒18 METsとなり、10 METsではありません。
3. 酸素摂取量が1,500 ml/min 付近に無酸素性代謝閾値(AT)がある。
✅ 正しい。V-slope法では、乳酸の緩衝により重炭酸から発生するCO2が加わってVCO2の増加が急峻になる点をATとします。図の2直線の交点が約1,500 ml/minです。
4. 二酸化炭素排出量が2,500 ml/min の運動では脂肪が燃焼されやすい。
❌ 誤り。VCO2が2,500 ml/minに達する強度はATをはるかに超えた高強度域で、エネルギー基質は糖質(グルコース)が主体になります。脂肪の利用が優位なのはAT以下の低〜中強度です。
5. 最高酸素摂取量は約3,500 ml/min である。
❌ 誤り。グラフの最右端のプロットは酸素摂取量3,700〜3,800 ml/min付近まで達しています。

【試験対策ポイント】

ATは心臓リハビリテーションの運動処方の基準として最頻出です。

求め方:V-slope法(VCO2の傾きが急になる変曲点=本問)、換気当量法(VE/VO2が上昇しVE/VCO2はまだ上昇しない点)、血中乳酸法(LT)。

意味:AT以下は有酸素運動主体で乳酸が蓄積せず脂肪が使われやすい、心臓に安全な強度。AT以上は糖質主体で乳酸が蓄積し換気が亢進します。

METs換算:1 MET=3.5 ml/kg/min。「VO2max(ml/min)÷体重÷3.5」で求めます。

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