PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第14問

整形外科疾患理学療法第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第14問(整形外科疾患理学療法)の正答は 1・4 です。深部静脈血栓症(DVT)を発症した直後の患側下肢は、運動やマッサージによって血栓が遊離し、致死的な肺血栓塞栓症を起こす危険があります。

問題
70歳の女性。左変形性膝関節症に対する人工関節置換術後2週経過時、手術側下肢に深部静脈血栓症が発症した。 理学療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 1. 右膝関節の自動屈伸訓練
  2. 2. 左膝関節の他動屈伸訓練
  3. 3. 両足関節の自動底背屈訓練
  4. 4. 右大腿四頭筋の等張性収縮訓練
  5. 5. 左下肢伸展位挙上訓練(SLR 訓練)

正答:1・4番

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解説
■ 正答:1・4番 — 右膝関節の自動屈伸訓練/右大腿四頭筋の等張性収縮訓練

深部静脈血栓症(DVT)を発症した直後の患側下肢は、運動やマッサージによって血栓が遊離し、致死的な肺血栓塞栓症を起こす危険があります。抗凝固療法が確立するまで患側(左下肢)への運動は避け、健側(右下肢)の運動で全身の廃用予防を図るのが原則です。


【各選択肢の解説】

1. 右膝関節の自動屈伸訓練
✅ 適切。健側の運動であり、血栓遊離のリスクなく可動域と筋力を維持できます。健側の運動は静脈還流の促進にも役立ちます。
2. 左膝関節の他動屈伸訓練
❌ 不適切。患側の他動運動は下肢の筋を機械的に動かすため血栓を遊離させる危険があります。他動であっても急性期には行いません。
3. 両足関節の自動底背屈訓練
❌ 不適切。足関節ポンプはDVTの「予防」には有効ですが、発症後の患側に行えば血栓を押し流す危険があります。「両」に患側が含まれるため不適切です。
4. 右大腿四頭筋の等張性収縮訓練
✅ 適切。健側の筋力増強訓練であり、安全に実施できます。
5. 左下肢伸展位挙上訓練(SLR 訓練)
❌ 不適切。患側下肢の運動であり、さらに挙上によって静脈還流が急に変化するため危険です。

【試験対策ポイント】

DVTは「予防」と「発症後」で対応が正反対になる点が最大の狙いどころです。

予防(発症前):足関節の自動底背屈(足関節ポンプ)、早期離床、弾性ストッキング、間欠的空気圧迫法

発症直後:患側の運動・マッサージ・弾性ストッキングの新規装着は禁忌。安静+抗凝固療法。理学療法は健側と上肢に限定

DVTを疑う所見も頻出です。Homans徴候(膝伸展位で足関節を背屈させるとふくらはぎに痛み)、下腿の腫脹・熱感、左右の周径差。突然の呼吸困難・胸痛・SpO2低下があれば肺血栓塞栓症を疑い、直ちに中止して医師に報告します。

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