PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第16問

理学療法評価学第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第16問(理学療法評価学)の正答は 2 です。症状を整理すると、①左手足の重度の運動・感覚障害=右半球の病変、②発話は正常=右利きの言語野(左半球)は保たれている、③顔面が常に右を向き左側を見ようとしない=左半側空間無視、となります。

問題
58歳の男性。右利き。職場で倒れているところを発見され搬入された。意識は傾眠状態であったが、発症後4日で改善した。この時点での発話には異常がない。左手足に重度の運動障害と感覚障害とを認める。筋緊張は低下している。視力・視野は正常であるが、顔面は常に右方に向け、指摘しても左側を見ようとしない。 頭部CT(別冊No.3 ①〜⑤)を別に示す。この患者に該当すると考えられるのはどれか。
第44回午前第16問 図
  1. 1. ①
  2. 2. ②
  3. 3. ③
  4. 4. ④
  5. 5. ⑤

正答:2番

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解説
■ 正答:2番 — ②

症状を整理すると、①左手足の重度の運動・感覚障害=右半球の病変、②発話は正常=右利きの言語野(左半球)は保たれている、③顔面が常に右を向き左側を見ようとしない=左半側空間無視、となります。②のCTでは画像の左側(=患者の右側)の被殻付近に大きな高吸収域(血腫)があり、右被殻出血の像です。これらの症状をすべて説明できます。


【各選択肢の解説】

1.
❌ 誤り。小脳・脳幹レベルのスライスで正中付近に小さな高吸収域があり、小脳出血の像です。運動失調やめまいを生じますが、片側の重度の運動麻痺・感覚障害や半側空間無視は説明できません。
2.
✅ 正しい。基底核レベルで患者右側の被殻に大きな血腫があります。内包後脚が圧迫されるため左片麻痺・左感覚障害が重度となり、右半球損傷による左半側空間無視も合致します。急性期の筋緊張低下とも矛盾しません。
3.
❌ 誤り。患者右側の基底核に点状の小さな高吸収域があるのみで、重度の運動・感覚障害や半側空間無視を生じる規模ではありません。
4.
❌ 誤り。血腫は画像の右側=患者の左側にあり、脳室方向へ広がっています。左半球病変であれば右片麻痺と失語を呈するはずで、症状と一致しません。
5.
❌ 誤り。高位のスライスで患者左側の頭頂葉皮質下に小さな高吸収域があります。左半球の病変であり左片麻痺は説明できません。

【試験対策ポイント】

CT画像問題は次の3手順で確実に絞れます。

手順1:左右を確認する——CTは原則として「画像の左=患者の右」です。本問は各画像に「左」の表示があるので、それを頼りに患者の左右を確定します。

手順2:症状から責任病巣の側を決める——左片麻痺なら右半球、右片麻痺なら左半球。

手順3:高次脳機能症状で半球を裏付ける——右半球は半側空間無視・病態失認・着衣失行、左半球は失語・失書・失算・観念運動失行。本症例は「発話が正常+左を見ない」で右半球病変が二重に確認できます。

被殻出血は脳内出血で最も頻度が高く(約40〜50%)、内包を圧迫して対側の片麻痺・感覚障害・共同偏視(病巣側を向く)を呈します。

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