PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第17問

神経疾患理学療法第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第17問(神経疾患理学療法)の正答は 2・4 です。本症例は右被殻出血による左片麻痺・左半側空間無視です。

問題
58歳の男性。右利き。職場で倒れているところを発見され搬入された。意識は傾眠状態であったが、発症後4日で改善した。この時点での発話には異常がない。左手足に重度の運動障害と感覚障害とを認める。筋緊張は低下している。視力・視野は正常であるが、顔面は常に右方に向け、指摘しても左側を見ようとしない。 発症10日目に数分の端座位保持が可能となったが、立位保持は介助でかろうじて可能であった。この時点で適切な治療計画はどれか。2つ選べ。
  1. 1. 頸部右回旋位を徒手的に矯正する。
  2. 2. 左上肢を意識させる。
  3. 3. 左下肢をナイトブレースで固定する。
  4. 4. 左下肢への荷重を促す。
  5. 5. 電動車椅子操作の訓練を行う。

正答:2・4番

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解説
■ 正答:2・4番 — 左上肢を意識させる/左下肢への荷重を促す

本症例は右被殻出血による左片麻痺・左半側空間無視です。発症10日目で端座位が数分可能、立位は介助でかろうじて可能という段階では、①無視側(左)への注意を能動的に促すこと、②立位で麻痺側下肢へ荷重して感覚入力と支持性を高めること、が治療の中心になります。


【各選択肢の解説】

1. 頸部右回旋位を徒手的に矯正する。
❌ 不適切。半側空間無視による頭部・眼球の偏位を他動的に押し戻しても症状は改善せず、抵抗や不快感を生みます。左側から話しかける、左空間に目標物を置いて探索させるなど、能動的に左へ注意を向けさせる方法をとります。
2. 左上肢を意識させる。
✅ 適切。半側空間無視や身体無視に対しては、麻痺側への注意喚起が基本的なアプローチです。左上肢を視界に入れて確認させる、両手動作を用いるなどが有効です。
3. 左下肢をナイトブレースで固定する。
❌ 不適切。弛緩性麻痺の時期に夜間装具で固定する必要はなく、拘縮予防は関節可動域訓練とポジショニングで対応します。感覚障害がある下肢の固定は皮膚障害の危険もあります。
4. 左下肢への荷重を促す。
✅ 適切。立位が介助で可能な時期であり、麻痺側への荷重は固有受容感覚の入力を増やし、立位バランスと支持性の改善につながります。無視側への注意を促す効果も期待できます。
5. 電動車椅子操作の訓練を行う。
❌ 不適切。左半側空間無視があると左側の障害物に気づかず衝突する危険が高く、発症10日目で機能回復の途上にある現時点では時期尚早です。

【試験対策ポイント】

半側空間無視への対応は「押さえつけず、無視側へ能動的に向かわせる」が原則です。

  • 環境設定:声かけやベッドの配置を無視側から行う
  • 視覚探索訓練:左端にマーカーを置いて線分抹消・音読させる
  • 体幹・頸部の回旋を伴う課題、両手を使う課題
急性期リハでは離床と荷重が最優先です。座位が数分、立位が介助という段階の次の目標は、立位耐久性と麻痺側支持性の獲得になります。

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