第44回 理学療法士国家試験 午前 第20問
神経疾患理学療法第44回午前
第44回 理学療法士国家試験 午前 第20問(神経疾患理学療法)の正答は 3 です。本症例は左視床出血発症1週で、Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ・手指Ⅳ・下肢Ⅴと運動麻痺は比較的軽度ですが、上下肢の関節覚(深部感覚)が重度に低下し、座位1分程度で易疲労、立位は軽介助という状態です。
問題
79歳の女性。左視床出血1週後、理学療法を開始した。JCS(Japan coma scale)は2点、喚語困難がみられる。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ、手指Ⅳ、下肢Ⅴ。上下肢の関節覚は重度の低下。座位保持は1分程度可能であるが易疲労性。立位保持は軽度の介助で短時間であれば可能である。
この患者に対する理学療法で適切なのはどれか。
- 1. 立位での二重課題
- 2. 交互型歩行器での歩行運動
- 3. 麻痺側下肢に対する筋力増強 ✓
- 4. 座位での麻痺側手指の巧緻運動
- 5. 視覚代償による麻痺側下肢の感覚再教育
正答:3番
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解説
■ 正答:3番 — 麻痺側下肢に対する筋力増強
本症例は左視床出血発症1週で、Brunnstrom法ステージは上肢Ⅴ・手指Ⅳ・下肢Ⅴと運動麻痺は比較的軽度ですが、上下肢の関節覚(深部感覚)が重度に低下し、座位1分程度で易疲労、立位は軽介助という状態です。この時期は全身の耐久性と下肢の支持性を高めることが最優先で、負担が小さく確実に効果が得られる麻痺側下肢の筋力増強が適切です。
【各選択肢の解説】
1. 立位での二重課題
❌ 不適切。立位保持そのものが軽介助でようやく可能な段階であり、易疲労性もあります。注意を分散させる二重課題は転倒の危険が高く、この時期には適しません。
❌ 不適切。立位保持そのものが軽介助でようやく可能な段階であり、易疲労性もあります。注意を分散させる二重課題は転倒の危険が高く、この時期には適しません。
2. 交互型歩行器での歩行運動
❌ 不適切。交互型歩行器は左右のフレームを両上肢で交互に操作するため支持性が不安定です。深部感覚が重度に障害され立位も軽介助を要する本症例には難易度が高すぎます。
❌ 不適切。交互型歩行器は左右のフレームを両上肢で交互に操作するため支持性が不安定です。深部感覚が重度に障害され立位も軽介助を要する本症例には難易度が高すぎます。
3. 麻痺側下肢に対する筋力増強
✅ 適切。下肢はステージⅤと分離運動が可能で、筋力増強の効果が得られます。臥位や座位でも実施でき、易疲労性のある時期でも負荷量を調整しやすく、立位・歩行能力の土台をつくります。
✅ 適切。下肢はステージⅤと分離運動が可能で、筋力増強の効果が得られます。臥位や座位でも実施でき、易疲労性のある時期でも負荷量を調整しやすく、立位・歩行能力の土台をつくります。
4. 座位での麻痺側手指の巧緻運動
❌ 不適切。手指はステージⅣで、さらに関節覚が重度に低下しています。巧緻動作の獲得は困難であり、理学療法の当面の目標(座位・立位の耐久性と移動能力)から見ても優先度が低い課題です。
❌ 不適切。手指はステージⅣで、さらに関節覚が重度に低下しています。巧緻動作の獲得は困難であり、理学療法の当面の目標(座位・立位の耐久性と移動能力)から見ても優先度が低い課題です。
5. 視覚代償による麻痺側下肢の感覚再教育
❌ 不適切。感覚再教育は感覚がある程度残存している場合に効果が期待できる手法で、重度脱失例では改善が乏しいとされています。現時点では耐久性と筋力の改善が優先です。
❌ 不適切。感覚再教育は感覚がある程度残存している場合に効果が期待できる手法で、重度脱失例では改善が乏しいとされています。現時点では耐久性と筋力の改善が優先です。
【試験対策ポイント】
この種の問題は症例の情報から到達可能なレベルを見極めることが解法です。本症例で押さえる情報は3つあります。ステージ上肢Ⅴ・下肢Ⅴ=麻痺は軽い/関節覚が重度低下=視覚に頼らないと肢位が分からない/座位1分で易疲労=耐久性がボトルネック。「麻痺は軽いのに動けない」原因は耐久性と支持性なので、そこに直接効く介入を選びます。
視床出血の特徴も頻出で、対側の重度感覚障害が前面に出る(運動麻痺は比較的軽い)、視床痛、感覚性運動失調が特徴です。
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