PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第23問

神経疾患理学療法第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第23問(神経疾患理学療法)の正答は 3・4 です。JCS 1点は「だいたい意識清明だが今ひとつはっきりしない」レベルで、指示理解は可能です。

問題
19歳の男性。オートバイ事故による頭部外傷で入院加療中。受傷後1か月。JCS(Japan coma scale)は1点。右上下肢はよく動かすが、左上下肢の筋緊張は亢進し、上肢屈曲位、下肢伸展位の姿勢をとることが多い。座位保持は可能であるが、体幹の動揺がみられる。 この時期の理学療法で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 1. 臥位での右上下肢のリラクセーション
  2. 2. 臥位での左上肢のFrenkel体操
  3. 3. 座位での左下肢筋の持続伸張
  4. 4. 立位でのバランス練習
  5. 5. 階段を降りる練習

正答:3・4番

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解説
■ 正答:3・4番 — 座位での左下肢筋の持続伸張/立位でのバランス練習

JCS 1点は「だいたい意識清明だが今ひとつはっきりしない」レベルで、指示理解は可能です。左上下肢は筋緊張が亢進し上肢屈曲・下肢伸展の痙縮パターンをとっており、座位保持も可能な時期です。したがって、痙縮側(左)下肢の拘縮予防のための持続伸張と、座位から立位へ進める抗重力活動(バランス練習)が適切です。


【各選択肢の解説】

1. 臥位での右上下肢のリラクセーション
❌ 誤り。筋緊張が亢進しているのは左側です。よく動く右(非麻痺側)にリラクセーションを行う意義はありません。
2. 臥位での左上肢のFrenkel体操
❌ 誤り。Frenkel体操は深部感覚障害による失調に対する協調性訓練です。屈曲位の痙縮を呈する左上肢には適応しません。
3. 座位での左下肢筋の持続伸張
✅ 正しい。左下肢は伸展位の痙縮があり、下腿三頭筋やハムストリングスの短縮による尖足・膝伸展拘縮が進行しやすい時期です。持続的伸張は痙縮の抑制と拘縮予防に有効で、座位でも安全に実施できます。
4. 立位でのバランス練習
✅ 正しい。意識レベルは良好で座位保持が可能な段階です。体幹の動揺があるからこそ、立位での抗重力活動・バランス練習に進めて歩行につなげるべき時期です。
5. 階段を降りる練習
❌ 誤り。座位で体幹動揺がある段階では立位・歩行がまだ確立しておらず、降段は最も転倒危険度の高い動作です。座位→立位→歩行→階段の順に進めます。

【試験対策ポイント】

JCS(Japan Coma Scale)の要点

状態各段階
Ⅰ桁刺激しないでも覚醒1=だいたい清明、2=見当識障害、3=名前・生年月日が言えない
Ⅱ桁刺激すると覚醒10=呼びかけ、20=大声・揺さぶり、30=痛み刺激でかろうじて
Ⅲ桁刺激しても覚醒しない100=払いのける、200=手足を動かす、300=反応なし

痙縮に対する介入は持続的伸張(速い伸張は伸張反射を誘発するのでNG)が基本です。頭部外傷後は「意識レベル」と「実際にできている動作(座位保持の可否)」の2つで、次に進める課題を決めると迷いません。

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