PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第34問

義肢装具学第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第34問(義肢装具学)の正答は 1 です。図では、後方から見て義足側の下肢が遊脚期に外側へ大きく弧を描いて振り出されており、分回し歩行(circumduction gait)を呈しています。

問題
大腿義足を装着した患者の歩行時に図のような現象が観察された。 原因はどれか。
第44回午前第34問 図
  1. 1. 義足が長すぎる。
  2. 2. 後方バンパーが硬すぎる。
  3. 3. 切断側の股関節外転筋力が不足している。
  4. 4. ソケットに対して膝継手が内旋している。
  5. 5. ソケットの初期屈曲角度が不足している。

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — 義足が長すぎる。

図では、後方から見て義足側の下肢が遊脚期に外側へ大きく弧を描いて振り出されており、分回し歩行(circumduction gait)を呈しています。膝継手は屈曲せず伸展位のまま振り出されています。義足が健側より長いと遊脚期につま先が床に引っかかるため、それを避けようとして義足を外側へ回して振り出すことになり、分回し歩行の最も代表的な原因となります。


【各選択肢の解説】

1. 義足が長すぎる。
✅ 正しい。義足長が過大だと遊脚期のクリアランスが確保できず、代償として外転・外旋を伴う分回し歩行が出現します。同じ理由で膝継手の摩擦過大や伸展補助装置が強すぎる場合にも分回しが生じます。
2. 後方バンパーが硬すぎる。
❌ 誤り。後方バンパー(ヒールクッション)が硬いと踵接地後の底屈が起こりにくく、足底接地が遅れて膝折れ方向の不安定さが生じます。これは立脚初期の異常であり、遊脚期の分回しの原因にはなりません。
3. 切断側の股関節外転筋力が不足している。
❌ 誤り。外転筋力不足では立脚期に体幹が義足側へ傾く外側動揺(Duchenne歩行様)がみられます。図の現象は遊脚期のものであり一致しません。
4. ソケットに対して膝継手が内旋している。
❌ 誤り。膝継手の内旋アライメント不良では、遊脚期から接地にかけて足先が内側を向く(toe-in)現象が生じます。外側への分回しとは異なります。
5. ソケットの初期屈曲角度が不足している。
❌ 誤り。ソケットの初期屈曲角が不足すると、断端の伸展制限を代償して立脚期に腰椎前弯が増強します。これも立脚期の異常です。

【試験対策ポイント】

大腿義足の異常歩行と原因は毎年のように問われます。まず「遊脚期の異常か立脚期の異常か」で切り分けます。

異常歩行時期主な原因
分回し歩行遊脚期義足が長い・膝継手の摩擦過大・伸展補助が強い・懸垂不良
伸び上がり歩行遊脚期義足が長い・膝の屈曲不足
外転歩行全周期義足が長い・ソケット内側壁が高い・股関節外転拘縮
腰椎前弯の増強立脚期ソケット初期屈曲角の不足・股関節屈曲拘縮
体幹の側方動揺立脚期外転筋力低下・ソケット適合不良
踵接地後の膝折れ立脚初期足継手の背屈位・後方バンパーが硬い・膝軸が前方すぎる

「義足が長すぎる」は分回し・伸び上がり・外転歩行の3つに共通する原因なので、真っ先に疑う定番です。

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