第44回 理学療法士国家試験 午前 第60問
神経疾患理学療法第44回午前
第44回 理学療法士国家試験 午前 第60問(神経疾患理学療法)の正答は 2 です。脳卒中片麻痺では三角筋・棘上筋の弛緩と肩甲骨の下方回旋により肩関節亜脱臼が生じます。
問題
脳卒中片麻痺患者の麻痺側の肩の理学療法で正しいのはどれか。
- 1. 肩関節伸展運動は避ける。
- 2. 亜脱臼があるときは整復位で行う。 ✓
- 3. 関節可動域訓練では肩甲骨を固定して行う。
- 4. 麻痺側への寝返りでは麻痺側肩甲骨を内転位にする。
- 5. 自己介助による上肢挙上運動では反動を用いた方法を指導する。
正答:2番
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解説
■ 正答:2番 — 亜脱臼があるときは整復位で行う。
脳卒中片麻痺では三角筋・棘上筋の弛緩と肩甲骨の下方回旋により肩関節亜脱臼が生じます。亜脱臼したまま他動運動を行うと関節包や腱板を傷めて疼痛(肩手症候群)の原因になるため、上腕骨頭を関節窩へ押し上げて整復した位置を保ちながら運動を行います。
【各選択肢の解説】
1. 肩関節伸展運動は避ける。
❌ 誤り。伸展運動を一律に避ける必要はない。避けるべきなのは疼痛を伴う無理な他動運動や、肩甲骨の動きを伴わない過度の挙上・牽引であって、運動方向で禁止されるものではない。
❌ 誤り。伸展運動を一律に避ける必要はない。避けるべきなのは疼痛を伴う無理な他動運動や、肩甲骨の動きを伴わない過度の挙上・牽引であって、運動方向で禁止されるものではない。
2. 亜脱臼があるときは整復位で行う。
✅ 正しい。骨頭を関節窩に納めた整復位で他動運動を行い、上肢の重みで下方に牽引されないようアームスリングやアームレスト、車椅子のテーブルで支持する。
✅ 正しい。骨頭を関節窩に納めた整復位で他動運動を行い、上肢の重みで下方に牽引されないようアームスリングやアームレスト、車椅子のテーブルで支持する。
3. 関節可動域訓練では肩甲骨を固定して行う。
❌ 誤り。肩甲骨を固定すると肩甲上腕リズム(挙上180°のうち肩甲骨が60°分を担う)が働かず、肩峰下でのインピンジメントと疼痛を招く。肩甲骨の上方回旋を誘導しながら行う。
❌ 誤り。肩甲骨を固定すると肩甲上腕リズム(挙上180°のうち肩甲骨が60°分を担う)が働かず、肩峰下でのインピンジメントと疼痛を招く。肩甲骨の上方回旋を誘導しながら行う。
4. 麻痺側への寝返りでは麻痺側肩甲骨を内転位にする。
❌ 誤り。内転(後退)位のまま下敷きになると肩関節が過伸展・後方へ引き込まれて損傷する。麻痺側肩甲骨は前方突出(外転・protraction)位に整えてから寝返らせる。
❌ 誤り。内転(後退)位のまま下敷きになると肩関節が過伸展・後方へ引き込まれて損傷する。麻痺側肩甲骨は前方突出(外転・protraction)位に整えてから寝返らせる。
5. 自己介助による上肢挙上運動では反動を用いた方法を指導する。
❌ 誤り。反動をつけた運動やオーバーヘッドプーリーの乱用は、肩甲上腕リズムを無視した過剰な挙上となり腱板損傷・疼痛を生じる。ゆっくり可動域内で行うよう指導する。
❌ 誤り。反動をつけた運動やオーバーヘッドプーリーの乱用は、肩甲上腕リズムを無視した過剰な挙上となり腱板損傷・疼痛を生じる。ゆっくり可動域内で行うよう指導する。
【試験対策ポイント】
片麻痺の肩の管理は「支える・整復する・肩甲骨を動かす・痛みを出さない」の4原則です。亜脱臼の評価は肩峰と骨頭の間に指が何横指入るかで表します。肩手症候群(CRPS type1)は発症1〜3か月に多く、疼痛・腫脹・手指の可動域制限を呈するため、乱暴な他動運動・上肢の下垂放置・麻痺側上肢への輸液を避けることが予防になります。
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