PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第80問

物理療法第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第80問(物理療法)の正答は 1・2 です。局所温熱療法は組織温を上昇させ、血管拡張による血流増加と筋紡錘・ガンマ運動ニューロンの活動抑制をもたらします。

問題
局所温熱療法の目的で正しいのはどれか。2つ選べ。
  1. 1. 攣縮の抑制
  2. 2. 浮腫の軽減
  3. 3. 創傷治癒の促進
  4. 4. 筋収縮速度の上昇
  5. 5. 膠原線維の粘弾性低下

正答:1・2番

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解説
■ 正答:1・2番 — 攣縮の抑制/浮腫の軽減

局所温熱療法は組織温を上昇させ、血管拡張による血流増加筋紡錘・ガンマ運動ニューロンの活動抑制をもたらします。その結果、筋攣縮(スパズム)が抑制され疼痛が軽減し、また血流・リンパ流の増加によって滲出物の吸収が促されるため慢性期の浮腫が軽減します。


【各選択肢の解説】

1. 攣縮の抑制
✅ 正しい。温熱により筋紡錘のIa求心性発射とガンマ運動ニューロンの活動が低下し、筋スパズムが緩和されます。疼痛閾値の上昇も加わり「疼痛→筋攣縮→循環不全→疼痛」の悪循環を断ちます。
2. 浮腫の軽減
✅ 正しい。血流とリンパ流が増加して滲出物・老廃物の吸収が促進され、慢性期の浮腫が軽減します(急性炎症期は逆に増悪するため寒冷を用います)。
3. 創傷治癒の促進
❌ 誤り。局所温熱療法の主目的には含まれません。創傷治癒の促進を狙う物理療法は超音波の非温熱効果(パルス波)、電気刺激、紫外線、陰圧閉鎖療法などです。開放創への直接的な温熱は感染増悪の危険もあります。
4. 筋収縮速度の上昇
❌ 誤り。温熱の目的は筋緊張の緩和・伸張性の改善であって、筋収縮速度の向上ではありません。運動パフォーマンスの指標を目的に温熱を行うことはありません。
5. 膠原線維の粘弾性低下
❌ 誤り。温熱は膠原線維(コラーゲン)の伸張性を高める方向に働き、粘弾性は増して伸びやすくなります。そのため温熱と持続伸張の併用が拘縮治療に有効です。「粘弾性が低下する」という表現は誤りです。

【試験対策ポイント】

温熱療法と寒冷療法の作用の違いは対で覚えます。

項目温熱療法寒冷療法
血流増加(血管拡張)減少(血管収縮)
代謝亢進低下
筋スパズム抑制抑制
疼痛閾値上昇(鎮痛)上昇(鎮痛)
膠原線維の伸張性増加低下
神経伝導速度上昇低下
急性炎症・出血悪化させるため禁忌適応(RICE)

主な温熱療法の到達深度:ホットパック・パラフィン浴・赤外線は表在(皮下1 cm程度)、超音波・極超短波・短波は深部(3〜5 cm)

温熱の禁忌は、急性炎症・出血傾向・感覚障害部位・循環障害(動脈閉塞)・悪性腫瘍・意識障害のある部位です。感覚が鈍い部位への温熱は熱傷事故につながるため、必ず感覚検査を先に行います。

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