PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午前 第82問

物理療法第44回午前

第44回 理学療法士国家試験 午前 第82問(物理療法)の正答は 5 です。水中運動では浮力が身体を持ち上げる方向に働きます。

問題
平地の運動と比較した水中の運動で正しいのはどれか。
  1. 1. 頸部の水位での運動では抗利尿作用が働く。
  2. 2. 膝関節の水位での歩行は下肢への抵抗が少ない。
  3. 3. 上前腸骨棘部の水位での立位は50 %の免荷となる。
  4. 4. 乳頭部の水位での上肢挙上運動は心負荷が減少する。
  5. 5. 臍部の水位でのゆっくりした股関節外転は負荷が軽減する。

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 臍部の水位でのゆっくりした股関節外転は負荷が軽減する。

水中運動では浮力が身体を持ち上げる方向に働きます。臍部までの水位で立位をとると下肢は水中にあり、股関節外転は浮力に助けられる方向の運動になります。さらに水の抵抗は速度の2乗に比例するため、ゆっくり動かせば抵抗はほとんど発生せず、陸上より負荷が軽減します。


【各選択肢の解説】

1. 頸部の水位での運動では抗利尿作用が働く。
❌ 誤り。頸部までの浸水では静水圧で静脈還流が増加し、中心血液量が増えます。その結果ANPの分泌が増え抗利尿ホルモン(ADH)は抑制され、利尿作用が働きます(水中では尿意を催しやすい)。
2. 膝関節の水位での歩行は下肢への抵抗が少ない。
❌ 誤り。膝までの水位でも下肢は水中にあり、歩行時の前方移動に対して水の抵抗を強く受けます。むしろ下肢に大きな抵抗がかかります。
3. 上前腸骨棘部の水位での立位は50 %の免荷となる。
❌ 誤り。浮力による免荷率は水位が高いほど大きく、約50%の免荷が得られるのは臍〜剣状突起の間の水位とされています。上前腸骨棘はそれより低い位置なので、免荷は50%に届きません。
4. 乳頭部の水位での上肢挙上運動は心負荷が減少する。
❌ 誤り。胸部まで浸水すると静水圧で静脈還流が増え、心臓への前負荷が増大します。加えて上肢挙上自体が昇圧反応を伴うため、心負荷はむしろ増加します。
5. 臍部の水位でのゆっくりした股関節外転は負荷が軽減する。
✅ 正しい。浮力が外転を補助し、緩徐な運動では抵抗もほとんど生じないため、陸上より低負荷になります。

【試験対策ポイント】

  • 浮力=運動の補助にも抵抗にもなる(浮力と同方向=補助、逆方向=抵抗)
  • 抵抗は速度の2乗に比例:ゆっくり=低負荷、速く=高負荷。負荷調整は「速さ」と「面積」で行う
  • 静水圧:深いほど大きい。胸郭圧迫で呼吸仕事量↑、静脈還流↑で心負荷は増える(心疾患では水位に注意)
  • 水温:34〜36℃が中間温(リラクセーション向き)、運動負荷をかけるなら30℃前後
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