PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午後 第56問

臨床心理学第44回午後

第44回 理学療法士国家試験 午後 第56問(臨床心理学)の正答は 1・2 です。転移とは患者が過去の重要な他者(親など)に向けた感情を治療者に向け替えることで、逆転移は逆に治療者が患者へ抱く無意識的な感情反応です。

問題
転移・逆転移で適切なのはどれか。2つ選べ。
  1. 1. 逆転移は治療者の生活史を反映する。
  2. 2. 陽性転移は治療的接近の手がかりになる。
  3. 3. 患者の怒りに気付いたら治療者を交代する。
  4. 4. 行動化は患者が転移を意識したときに生じる。
  5. 5. 逆転移を認識したら患者にそのことを伝える。

正答:1・2番

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解説
■ 正答:1・2番 — 逆転移は治療者の生活史を反映する/陽性転移は治療的接近の手がかりになる

転移とは患者が過去の重要な他者(親など)に向けた感情を治療者に向け替えることで、逆転移は逆に治療者が患者へ抱く無意識的な感情反応です。逆転移には治療者自身の生育歴・対人関係パターンが反映され、陽性転移は治療関係を築く足がかりとして活用できます。


【各選択肢の解説】

1. 逆転移は治療者の生活史を反映する。
✅ 正しい。治療者の未解決の葛藤や過去の対人経験が投影されたものが逆転移で、自己吟味やスーパービジョンで扱う対象になります。
2. 陽性転移は治療的接近の手がかりになる。
✅ 正しい。治療者への好意・信頼といった陽性転移は治療同盟の形成を助け、治療への動機づけに利用できます。
3. 患者の怒りに気付いたら治療者を交代する。
❌ 誤り。怒り(陰性転移)も理解すべき重要な治療素材です。ただちに交代せず、なぜその感情が生じたかを取り扱うのが原則です。
4. 行動化は患者が転移を意識したときに生じる。
❌ 誤り。行動化(acting out)は言語化されない無意識の感情が行動として表出される現象で、意識化されないからこそ起こります。
5. 逆転移を認識したら患者にそのことを伝える。
❌ 誤り。逆転移は治療者側の問題であり、患者に伝えると混乱や負担を与えます。まずは自覚し、スーパービジョンなどで処理します。

【試験対策ポイント】

転移=患者→治療者/逆転移=治療者→患者という方向をまず固定します。陽性転移(好意・依存・理想化)は治療同盟に活かし、陰性転移(怒り・不信)は治療の停滞サインとして扱います。逆転移は「悪いもの」ではなく患者理解の手がかりにもなりますが、自覚できていない逆転移は治療関係を歪めるため危険です。PT場面でも過度な依存や理想化、担当交代の要求として現れることがあります。

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