PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午後 第81問

神経内科学第44回午後

第44回 理学療法士国家試験 午後 第81問(神経内科学)の正答は 5 です。肘部管症候群は肘関節内側(尺骨神経溝)で尺骨神経が絞扼される疾患です。

問題
肘部管症候群で筋力低下をきたすのはどれか。
  1. 1. 短母指外転筋
  2. 2. 長母指伸筋
  3. 3. 長母指屈筋
  4. 4. 母指対立筋
  5. 5. 母指内転筋

正答:5番

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解説
■ 正答:5番 — 母指内転筋

肘部管症候群は肘関節内側(尺骨神経溝)で尺骨神経が絞扼される疾患です。母指周囲筋のうち尺骨神経支配なのは母指内転筋と短母指屈筋深頭だけで、他はすべて正中神経または橈骨神経の支配です。


【各選択肢の解説】

1. 短母指外転筋
❌ 誤り。正中神経支配(母指球筋)。手根管症候群で萎縮する筋で、肘部管症候群では侵されません。
2. 長母指伸筋
❌ 誤り。橈骨神経(後骨間神経)支配。母指のIP関節を伸展させる筋です。
3. 長母指屈筋
❌ 誤り。正中神経(前骨間神経)支配。前骨間神経麻痺では母指IP関節を屈曲できず、涙のしずくサイン(tear drop sign)を呈します。
4. 母指対立筋
❌ 誤り。正中神経支配(母指球筋)。対立運動の障害は正中神経麻痺(猿手)の特徴です。
5. 母指内転筋
✅ 正しい。尺骨神経支配。麻痺すると母指内転が困難となり、紙をつまむ際に長母指屈筋で代償してIP関節が屈曲するFroment徴候が陽性になります。

【試験対策ポイント】

手内在筋の神経支配は「尺骨神経が大半、正中神経は母指球3筋+第1・2虫様筋のみ」と覚えるのが最短です。

神経支配する手内在筋麻痺の代表徴候
正中神経短母指外転筋・母指対立筋・短母指屈筋浅頭・第1/2虫様筋猿手・対立不能
尺骨神経骨間筋・第3/4虫様筋・小指球筋・母指内転筋鷲手・Froment徴候

肘部管症候群では小指と環指尺側のしびれ、骨間筋萎縮(第1背側骨間筋の陥凹)、鷲手変形が出ます。肘屈曲で症状が増悪するのも特徴で、夜間の肘屈曲位を避ける装具が用いられます。

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