PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第44回 理学療法士国家試験 午後 第82問

神経内科学第44回午後

第44回 理学療法士国家試験 午後 第82問(神経内科学)の正答は 2・3 です。深部腱反射が亢進するのは上位運動ニューロン(錐体路)障害のときです。

問題
深部腱反射の亢進がみられるのはどれか。2つ選べ。
  1. 1. 重症筋無力症
  2. 2. 多発性硬化症 ✓
  3. 3. 筋萎縮性側索硬化症 ✓
  4. 4. 筋強直性ジストロフィー
  5. 5. Duchenne型筋ジストロフィー

正答:2・3番

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解説
■ 正答:2・3番 — 多発性硬化症/筋萎縮性側索硬化症

深部腱反射が亢進するのは上位運動ニューロン(錐体路)障害のときです。多発性硬化症は中枢神経の脱髄で錐体路が障害され、筋萎縮性側索硬化症は側索(錐体路)の変性を伴うため、いずれも腱反射が亢進します。


【各選択肢の解説】

1. 重症筋無力症
❌ 誤り。神経筋接合部(アセチルコリン受容体に対する自己抗体)の障害であり、腱反射は正常です。易疲労性と日内変動(夕方に悪化)が特徴です。
2. 多発性硬化症
✅ 正しい。中枢神経白質の脱髄病巣が錐体路に及ぶと痙縮・腱反射亢進・Babinski徴候陽性となります。時間的・空間的多発が診断の基本です。
3. 筋萎縮性側索硬化症
✅ 正しい。上位運動ニューロン障害(腱反射亢進・痙縮)と下位運動ニューロン障害(筋萎縮・線維束攣縮)が同一患者に混在するのが最大の特徴です。萎縮した筋で腱反射が亢進していればALSを強く疑います。
4. 筋強直性ジストロフィー
❌ 誤り。筋原性疾患であり、腱反射は低下〜消失します。ミオトニア(把握後に手を開けない)、前頭部禿頭、白内障、耐糖能異常などの多臓器症状を伴います。
5. Duchenne型筋ジストロフィー
❌ 誤り。筋原性疾患で腱反射は低下します。特にアキレス腱反射は比較的保たれ、膝蓋腱反射が早期に消失するのが知られています。

【試験対策ポイント】

腱反射の増減で病変部位を切り分けるのが国試の定番です。

腱反射病変部位代表疾患
亢進上位運動ニューロン(錐体路)脳卒中・脊髄損傷・多発性硬化症・ALS
低下・消失下位運動ニューロン・末梢神経・筋Guillain-Barré症候群・末梢神経障害・筋ジストロフィー
正常神経筋接合部重症筋無力症・Lambert-Eaton症候群

ALSだけが「亢進と筋萎縮の同居」という例外的な組合せを示す点を必ず押さえてください。

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