PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第45回 理学療法士国家試験 午前 第10問

神経疾患理学療法第45回午前

第45回 理学療法士国家試験 午前 第10問(神経疾患理学療法)の正答は 3 です。図では患者は立位で麻痺側である右足をボールに乗せ、前後に転がしています。

問題
脳卒中右片麻痺患者に対する訓練を図に示す。患者はボールに右足を乗せ、ボールを前後に転がしている。 訓練目的として誤っているのはどれか。
第45回午前第10問 図
  1. 1. 立位バランス改善
  2. 2. 腹筋・背筋の協調運動
  3. 3. 麻痺側下肢の支持性向上
  4. 4. 麻痺側下肢の屈筋強化
  5. 5. 非麻痺側下肢の伸筋強化

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — 麻痺側下肢の支持性向上

図では患者は立位で麻痺側である右足をボールに乗せ、前後に転がしています。この間、体重を支えているのは非麻痺側の左下肢であり、麻痺側下肢は荷重されていません。したがって「麻痺側下肢の支持性向上」はこの訓練の目的にあたらず、誤りとなります。


【各選択肢の解説】

1. 立位バランス改善
✅ 正しい。片脚支持に近い不安定な状況で重心を制御し続ける必要があり、立位バランスの訓練になります。
2. 腹筋・背筋の協調運動
✅ 正しい。下肢を前後に動かすと重心が移動するため、体幹筋が姿勢を保つように持続的に働き、体幹と下肢の協調が促されます。
3. 麻痺側下肢の支持性向上
❌ 誤り。麻痺側下肢はボールの上にあって荷重されていないため、支持性(荷重に耐える能力)は高まりません。支持性を高めるには麻痺側への体重移動や麻痺側単脚立位が必要です。
4. 麻痺側下肢の屈筋強化
✅ 正しい。ボールを手前に引く動作では股関節・膝関節の屈曲が求められ、遊脚期に必要な屈筋群の随意的コントロールが促されます。
5. 非麻痺側下肢の伸筋強化
✅ 正しい。支持側である非麻痺側は体重を支え続けるため、股関節・膝関節伸筋群の等尺性〜遠心性収縮が持続的に要求されます。

【試験対策ポイント】

訓練場面の図から目的を読み取る問題では、まず「どちらの下肢が荷重しているか」を確認します。荷重していない側に「支持性向上」「荷重訓練」といった目的は成立しません。

片麻痺の下肢に対する主な訓練と目的の対応は次のとおりです。

  • 支持性(立脚期)向上:麻痺側への体重移動、ステップ肢位での前後移動、片脚立位、傾斜台での立位
  • 屈筋群の分離運動(遊脚期)促通:座位での膝屈伸、立位でのボール転がし、階段のステップ動作
  • バランス:重心移動、リーチ動作、外乱応答訓練
また、非麻痺側だけを鍛えると麻痺側の不使用(learned non-use)を助長するため、目的を明確にして左右のバランスをとることが重要です。

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