第45回 理学療法士国家試験 午前 第11問
理学療法評価学第45回午前
第45回 理学療法士国家試験 午前 第11問(理学療法評価学)の正答は 4 です。頭部MRIの水平断では、橋が前後に細く萎縮し、その周囲の小脳半球・小脳虫部の脳溝が著明に開大しています。
問題
70歳の女性。ADLは一部介助でサークル型歩行器を用いて50 mの移動ができる。頭部MRI(別冊No. 4)を別に示す。
歩容としてみられるのはどれか。
- 1. はさみ足歩行
- 2. 分回し歩行
- 3. 中殿筋歩行
- 4. 失調性歩行 ✓
- 5. 鶏歩
正答:4番
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解説
■ 正答:4番 — 失調性歩行
頭部MRIの水平断では、橋が前後に細く萎縮し、その周囲の小脳半球・小脳虫部の脳溝が著明に開大しています。第四脳室と小脳周囲のくも膜下腔も拡大しており、橋小脳系の萎縮(脊髄小脳変性症・オリーブ橋小脳萎縮症)の所見です。小脳性の運動失調により歩隔の広い動揺性の失調性歩行となります。
【各選択肢の解説】
1. はさみ足歩行
❌ 誤り。股関節内転筋の痙縮により両下肢が交差する歩行で、痙直型両麻痺(脳性麻痺)や痙性対麻痺など錐体路障害でみられます。
❌ 誤り。股関節内転筋の痙縮により両下肢が交差する歩行で、痙直型両麻痺(脳性麻痺)や痙性対麻痺など錐体路障害でみられます。
2. 分回し歩行
❌ 誤り。片麻痺で下肢が伸展共同運動パターンとなり、遊脚期に外側へ円を描く歩行です。一側大脳半球の病変で生じます。
❌ 誤り。片麻痺で下肢が伸展共同運動パターンとなり、遊脚期に外側へ円を描く歩行です。一側大脳半球の病変で生じます。
3. 中殿筋歩行
❌ 誤り。中殿筋の筋力低下により立脚期に骨盤が遊脚側へ傾く(Trendelenburg歩行)または体幹を立脚側へ倒す(Duchenne歩行)もので、変形性股関節症や上殿神経麻痺でみられます。
❌ 誤り。中殿筋の筋力低下により立脚期に骨盤が遊脚側へ傾く(Trendelenburg歩行)または体幹を立脚側へ倒す(Duchenne歩行)もので、変形性股関節症や上殿神経麻痺でみられます。
4. 失調性歩行
✅ 正しい。小脳と橋の萎縮による小脳性失調で、歩隔を広くとり左右に動揺する酩酊様歩行となります。歩行器を用いて支持基底面を広げているという経過とも合致します。
✅ 正しい。小脳と橋の萎縮による小脳性失調で、歩隔を広くとり左右に動揺する酩酊様歩行となります。歩行器を用いて支持基底面を広げているという経過とも合致します。
5. 鶏歩
❌ 誤り。総腓骨神経麻痺やCharcot-Marie-Tooth病などによる下垂足で、つま先の引っかかりを避けるため膝を高く持ち上げる歩行です。
❌ 誤り。総腓骨神経麻痺やCharcot-Marie-Tooth病などによる下垂足で、つま先の引っかかりを避けるため膝を高く持ち上げる歩行です。
【試験対策ポイント】
異常歩行は「病巣・障害筋」とセットで暗記します。
| 歩行 | 病巣・原因 |
|---|---|
| 失調性(酩酊様)歩行 | 小脳・脊髄後索 |
| 分回し歩行 | 一側大脳半球(片麻痺) |
| はさみ足歩行 | 両側錐体路(内転筋痙縮) |
| 中殿筋(Trendelenburg)歩行 | 中殿筋麻痺・変形性股関節症 |
| 鶏歩 | 総腓骨神経麻痺(下垂足) |
| 小刻み・すくみ足歩行 | 大脳基底核(Parkinson病) |
画像では、橋の萎縮+小脳萎縮+第四脳室の拡大が脊髄小脳変性症の典型像です。理学療法は支持基底面を広げた歩行練習、重錘負荷やFrenkel体操による協調性訓練、環境調整による転倒予防が中心となります。
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