PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第45回 理学療法士国家試験 午前 第19問

理学療法評価学第45回午前

第45回 理学療法士国家試験 午前 第19問(理学療法評価学)の正答は 1 です。本症例は左被殻出血による右片麻痺で、非麻痺側である左上肢の支持がないと立位バランスを崩します。

問題
70歳の男性。左被殻出血発症後3か月経過。Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ、下肢Ⅲ。歩行は四点杖を使用し、屋内歩行は自立している。立ち上がりは手すりか杖を使用すればかろうじて可能である。左上肢の支持がないとバランスを崩すが、体幹か下肢が壁などに接していれば立位の保持は可能である。この患者が自動的な諸機能のない洋式トイレを使用した場合に転倒の危険性が高いのはどれか。
  1. 1. 便器の蓋を開ける。
  2. 2. 便座に座る。
  3. 3. 清拭をする。
  4. 4. 便座から立ち上がる。
  5. 5. ズボンを上げる。

正答:1番

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解説
■ 正答:1番 — 便器の蓋を開ける。

本症例は左被殻出血による右片麻痺で、非麻痺側である左上肢の支持がないと立位バランスを崩します。便器の蓋を開ける動作は、立位のまま支持している左手を手すりから離し、前方へリーチしなければなりません。支持を失った状態で重心を前方へ移すことになるため、示された動作のなかで最も転倒の危険が高くなります。


【各選択肢の解説】

1. 便器の蓋を開ける。
✅ 転倒の危険性が高い。立位で唯一の支持源である非麻痺側上肢を離し、体幹も壁から離して前方へ手を伸ばす必要があり、バランスを崩しやすい動作です。
2. 便座に座る。
❌ 危険性は低い。手すりや壁に触れながら重心を下げていく動作で、途中で座面という支持面が得られるため比較的安全です。
3. 清拭をする。
❌ 危険性は低い。便座に座った状態で行うため支持基底面が広く、座位バランスは保たれている症例では安全に行えます。
4. 便座から立ち上がる。
❌ 危険性は低い。「立ち上がりは手すりか杖を使用すればかろうじて可能」とされており、手すりを利用すれば実施できます。
5. ズボンを上げる。
❌ 危険性は低い。「体幹か下肢が壁などに接していれば立位の保持は可能」とあるため、壁や便器に身体を寄せて支持を確保しながら行えます。

【試験対策ポイント】

ADL場面の危険予測では、次の3点を照合します。

  • 支持物から手を離す必要があるか(片麻痺者は非麻痺側上肢が唯一の支持源)
  • 重心が支持基底面から外れる方向へ動くか(前方・側方リーチは危険)
  • 姿勢の変換を伴うか(立ち上がり・方向転換・またぎ動作)
Brunnstrom法ステージは上肢Ⅱ(連合反応がわずかに出現)、下肢Ⅲ(座位・立位での股・膝・足の同時屈曲)で、麻痺側上肢は実用手として使えません。被殻出血は内包後脚に近接するため運動麻痺が強く出やすく、左被殻出血では失語症を合併することもあります。

トイレ動作の自立には「移乗・下衣操作・清拭・立ち座り」の4要素があり、環境整備としてはL字型手すりの設置、便座の高さ調整、蓋のない便器や自動開閉便座の使用が有効です。

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