PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第45回 理学療法士国家試験 午後 第5問

整形外科学第45回午後

第45回 理学療法士国家試験 午後 第5問(整形外科学)の正答は 4 です。MRI(膝矢状断)では、膝蓋上嚢に著明な高信号の液体貯留(関節血症)があり、顆間部を走行するはずの前十字靱帯(ACL)が連続した索状構造として追えず、周囲に不整な高信号を伴っています。

問題
18歳の男性。サッカーの試合中に方向転換をしようとして膝関節をひねり、疼痛のため歩行不能となった。翌日に撮像したMRI(別冊No. 1)を別に示す。この患者で認められないのはどれか。
第45回午後第5問 図
  1. 1. 膝蓋跳動
  2. 2. Nテスト陽性
  3. 3. 前方引き出し徴候
  4. 4. 後方引き出し徴候
  5. 5. ラックマンテスト陽性

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 後方引き出し徴候

MRI(膝矢状断)では、膝蓋上嚢に著明な高信号の液体貯留(関節血症)があり、顆間部を走行するはずの前十字靱帯(ACL)が連続した索状構造として追えず、周囲に不整な高信号を伴っています。スポーツ中の非接触型の膝ひねりで受傷し歩行不能となった経過と合わせ、ACL損傷(断裂)と判断できます。後方引き出し徴候は後十字靱帯(PCL)損傷の徴候であり、本例では認められません(設問は「認められないもの」を問う否定形です)。


【各選択肢の解説】

1. 膝蓋跳動
✅ 認められる。MRIで膝蓋上嚢に著明な関節液(血液)貯留があり、関節血症の状態です。膝蓋跳動は関節液貯留を検出する所見なので陽性となります。
2. Nテスト陽性
✅ 認められる。N test(Slocumのpivot shift相当)は膝前外側回旋不安定性をみる検査で、ACL断裂で陽性になります。
3. 前方引き出し徴候
✅ 認められる。膝90°屈曲位で脛骨を前方へ引くと、ACLの制動が失われているため脛骨が前方に亜脱臼します。
4. 後方引き出し徴候
❌ 認められない。膝90°屈曲位で脛骨を後方へ押す検査で、後十字靱帯(PCL)損傷で陽性となる所見です。本例はACL損傷でPCLは保たれているため陰性です。
5. ラックマンテスト陽性
✅ 認められる。膝20〜30°屈曲位で脛骨を前方に引き出す検査で、ACL損傷に対して最も感度が高いとされます。

【試験対策ポイント】

膝靱帯損傷の徒手検査は、対象靱帯とセットで暗記します。

検査肢位陽性が示す損傷
ラックマンテスト膝20〜30°屈曲前十字靱帯(最も感度が高い)
前方引き出しテスト膝90°屈曲前十字靱帯
後方引き出しテスト膝90°屈曲後十字靱帯
Nテスト・pivot shift伸展位から屈曲前十字靱帯(前外側回旋不安定性)
外反ストレステスト膝30°屈曲内側側副靱帯
McMurrayテスト屈曲位から伸展+回旋半月板

ACL損傷は非接触型の急停止・方向転換で受傷し、受傷直後の関節血症(数時間以内の腫脹)が特徴です。一方、PCL損傷はダッシュボード損傷のように脛骨前面を後方へ押される機序で起こります。

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