PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第45回 理学療法士国家試験 午後 第17問

義肢装具学第45回午後

第45回 理学療法士国家試験 午後 第17問(義肢装具学)の正答は 3 です。図は右上肢を背面から見たもので、前腕背側から手背の橈側(母指・示指・中指の背側)にかけて感覚脱失領域が示されています。

問題
21歳の男性。右上腕骨骨折。図に示す領域の知覚が脱失し、運動麻痺がみられる。装着するスプリントで適切なのはどれか。
第45回午後第17問 図
  1. 1. フレクサーヒンジ・スプリント
  2. 2. Bennett型長対立スプリント
  3. 3. Thomasスプリント
  4. 4. ナックルベンダー
  5. 5. 短対立スプリント

正答:3番

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解説
■ 正答:3番 — Thomasスプリント

図は右上肢を背面から見たもので、前腕背側から手背の橈側(母指・示指・中指の背側)にかけて感覚脱失領域が示されています。これは橈骨神経(後前腕皮神経および浅枝)の支配領域で、上腕骨骨幹部骨折では骨の後面を走る橈骨神経溝で神経が損傷されるため典型的です。橈骨神経麻痺では手関節と手指の伸展ができない下垂手となるので、手関節とMP関節を伸展位に保持するThomasスプリント(Thomas型懸垂副子)を用います。


【各選択肢の解説】

1. フレクサーヒンジ・スプリント
❌ 誤り。手関節の背屈運動を利用して母指と示指・中指の把持(tenodesis action)を行わせる装具で、C6レベルの頸髄損傷などに用います。
2. Bennett型長対立スプリント
❌ 誤り。母指を対立位に保持する装具で、前腕まで及ぶ長対立型は正中神経麻痺(猿手)に用います。橈骨神経麻痺には適しません。
3. Thomasスプリント
✅ 正しい。手関節を背屈位、MP関節を伸展位に保持しながら手指の屈曲を許す構造で、橈骨神経麻痺による下垂手の機能的肢位を保ち、伸筋腱の過伸張と屈筋の拘縮を防ぎます。
4. ナックルベンダー
❌ 誤り。MP関節の屈曲を補助する装具で、尺骨神経麻痺による鷲手(MP過伸展・IP屈曲)の矯正に用います。
5. 短対立スプリント
❌ 誤り。手関節を含まず母指を対立位に保持する装具で、正中神経麻痺(母指対立不能)に用います。

【試験対策ポイント】

上肢末梢神経麻痺は「変形名・支配領域・スプリント」を三点セットで覚えます。

神経変形感覚障害の主な領域代表的スプリント
橈骨神経下垂手前腕背側・手背橈側(母指〜中指背側)Thomasスプリント、コックアップスプリント
正中神経猿手手掌橈側・母指〜環指橈側の掌側短対立・長対立(Bennett型)スプリント
尺骨神経鷲手手掌尺側・環指尺側〜小指ナックルベンダー

上腕骨骨幹部(中央〜遠位1/3)骨折=橈骨神経麻痺、上腕骨顆上骨折=正中神経(前骨間神経)麻痺、肘部管や上腕骨内側上顆部=尺骨神経麻痺、という損傷部位との対応も頻出です。

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