第46回 理学療法士国家試験 午前 第8問
神経内科学第46回午前
第46回 理学療法士国家試験 午前 第8問(神経内科学)の正答は 5 です。本例は多発性脳梗塞であり、障害されているのは大脳の上位運動ニューロン(錐体路)である。
問題
75歳の男性。高血圧と糖尿病の治療を長期にわたり行っている。徐々に歩行障害がみられるようになり、転倒することが多くなった。頭部MRI(別冊No. 2)を別に示す。
この患者で認められないと考えられるのはどれか。
- 1. 嚥下障害
- 2. 感情失禁
- 3. 小刻み歩行
- 4. 認知機能低下
- 5. 左側弛緩性麻痺 ✓
正答:5番
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解説
■ 正答:5番 — 左側弛緩性麻痺
本例は多発性脳梗塞であり、障害されているのは大脳の上位運動ニューロン(錐体路)である。上位運動ニューロン障害で生じる麻痺は痙性麻痺であり、弛緩性麻痺は脊髄前角細胞や末梢神経など下位運動ニューロンの障害でみられる所見である。加えて病変は両側性に散在しており、左側に限局した麻痺として説明することもできない。
【各選択肢の解説】
1. 嚥下障害
✅ 認められる。両側の皮質延髄路が障害されると偽性球麻痺となり、嚥下障害・構音障害を生じる。
✅ 認められる。両側の皮質延髄路が障害されると偽性球麻痺となり、嚥下障害・構音障害を生じる。
2. 感情失禁
✅ 認められる。わずかな刺激で泣いたり笑ったりしてしまう感情失禁は、偽性球麻痺に伴う代表的症状である。
✅ 認められる。わずかな刺激で泣いたり笑ったりしてしまう感情失禁は、偽性球麻痺に伴う代表的症状である。
3. 小刻み歩行
✅ 認められる。基底核・白質の多発病変により血管性パーキンソニズムを生じ、小刻み歩行・すくみ足・易転倒性が現れる。本例の「歩行障害があり転倒が増えた」経過と合致する。
✅ 認められる。基底核・白質の多発病変により血管性パーキンソニズムを生じ、小刻み歩行・すくみ足・易転倒性が現れる。本例の「歩行障害があり転倒が増えた」経過と合致する。
4. 認知機能低下
✅ 認められる。多発梗塞と広範な白質病変は血管性認知症の原因となり、遂行機能障害・注意障害・意欲低下をきたす。
✅ 認められる。多発梗塞と広範な白質病変は血管性認知症の原因となり、遂行機能障害・注意障害・意欲低下をきたす。
5. 左側弛緩性麻痺
❌ 認められない(これが正答)。大脳の多発梗塞では痙性麻痺(筋緊張亢進・腱反射亢進・Babinski徴候陽性)となる。弛緩性麻痺は下位運動ニューロン障害の所見である。
❌ 認められない(これが正答)。大脳の多発梗塞では痙性麻痺(筋緊張亢進・腱反射亢進・Babinski徴候陽性)となる。弛緩性麻痺は下位運動ニューロン障害の所見である。
【試験対策ポイント】
| 項目 | 上位運動ニューロン障害 | 下位運動ニューロン障害 |
|---|---|---|
| 麻痺の型 | 痙性麻痺 | 弛緩性麻痺 |
| 筋緊張 | 亢進(折りたたみナイフ現象) | 低下 |
| 腱反射 | 亢進 | 減弱・消失 |
| 病的反射 | Babinski徴候陽性 | 陰性 |
| 筋萎縮 | 軽度(廃用性) | 著明(神経原性) |
| 線維束性収縮 | なし | あり |
・多発性脳梗塞(ビンスワンガー型を含む)の主な症候=偽性球麻痺・感情失禁・血管性パーキンソニズム・血管性認知症。
・選択肢に「弛緩性麻痺」が出たら、脊髄前角(ポリオ、ALSの下位徴候)・末梢神経(Guillain-Barré症候群)・脊髄ショック期を想起する。
・脳卒中でも発症直後の急性期には一過性に弛緩性となる(ショック相)が、慢性期には痙性へ移行する点も押さえておく。
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