第46回 理学療法士国家試験 午前 第74問
運動学第46回午前
第46回 理学療法士国家試験 午前 第74問(運動学)の正答は 1 です。「誤っているのはどれか」を問う設問です。
問題
歩行の神経機構として、中枢パターン発生器(central pattern generator)説がある。
この神経機構で誤っているのはどれか。
- 1. 解剖学的な構造が明確である。 ✓
- 2. 意図的な制御を軽減している。
- 3. ヒト以外の動物にもみられる。
- 4. 相反性抑制機構が関与している。
- 5. 脳幹部以上の中枢からの制御を受けている。
正答:1番
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解説
■ 正答:1番 — 解剖学的な構造が明確である。
「誤っているのはどれか」を問う設問です。中枢パターン発生器(CPG)は、末梢からの感覚入力や上位中枢の指令がなくてもリズミカルな歩行様の運動出力を作り出す脊髄内の機能的な神経回路網の概念であり、ヒトでは「ここがCPGである」と特定できる解剖学的構造は明確になっていません。
【各選択肢の解説】
1. 解剖学的な構造が明確である。
❌ 誤り。CPGは動物実験(除脳ネコの脊髄歩行など)から機能的に推定された概念で、特にヒトでは局在を含めた解剖学的実体が明確に同定されていません。これが本問の正答です。
❌ 誤り。CPGは動物実験(除脳ネコの脊髄歩行など)から機能的に推定された概念で、特にヒトでは局在を含めた解剖学的実体が明確に同定されていません。これが本問の正答です。
2. 意図的な制御を軽減している。
✅ 正しい。歩行の基本リズムを脊髄レベルで自動生成することで、一歩ごとに意識的な命令を出す必要がなくなり、注意資源を環境認知や会話に振り向けられます。
✅ 正しい。歩行の基本リズムを脊髄レベルで自動生成することで、一歩ごとに意識的な命令を出す必要がなくなり、注意資源を環境認知や会話に振り向けられます。
3. ヒト以外の動物にもみられる。
✅ 正しい。除脳ネコをトレッドミル上に乗せると歩行様運動が出現する実験や、ヤツメウナギ・ネコ・サルでのCPGの存在が広く示されています。
✅ 正しい。除脳ネコをトレッドミル上に乗せると歩行様運動が出現する実験や、ヤツメウナギ・ネコ・サルでのCPGの存在が広く示されています。
4. 相反性抑制機構が関与している。
✅ 正しい。屈筋と伸筋を交互に活動させるために、Ia抑制介在ニューロンによる相反性抑制や左右交叉性の抑制回路が組み込まれていると考えられています。
✅ 正しい。屈筋と伸筋を交互に活動させるために、Ia抑制介在ニューロンによる相反性抑制や左右交叉性の抑制回路が組み込まれていると考えられています。
5. 脳幹部以上の中枢からの制御を受けている。
✅ 正しい。中脳歩行誘発野(MLR)や網様体脊髄路を介して、歩行の開始・停止・速度調節といった上位中枢からの修飾を受けます。
✅ 正しい。中脳歩行誘発野(MLR)や網様体脊髄路を介して、歩行の開始・停止・速度調節といった上位中枢からの修飾を受けます。
【試験対策ポイント】
CPGは「歩行の自動性」を説明する概念で、歩行制御は①脊髄のCPG(自動リズム生成)②末梢からの感覚入力(荷重・股関節伸展)による修飾③上位中枢(大脳・脳幹・小脳)による随意的制御——の3階層でできていると整理します。
CPGを賦活する末梢入力として重要なのが、立脚終期の股関節伸展と足底への荷重刺激です。これがトレッドミル歩行練習(BWSTT:部分免荷トレッドミルトレーニング)や、脊髄損傷・脳卒中患者に対する課題指向型歩行練習の理論的根拠になっています。「たくさん歩かせることが歩行の再学習になる」というリハビリテーションの原則が、この神経機構に支えられているわけです。
なお、選択肢2〜5がすべてCPGの正しい説明である一方、1だけが「明確である」と断定している点に違和感を持てるかどうかが得点の分かれ目です。
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