PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第46回 理学療法士国家試験 午前 第83問

整形外科学第46回午前

第46回 理学療法士国家試験 午前 第83問(整形外科学)の正答は 4・5 です。脱臼は関節ごとに好発方向が決まっています。

問題
前方脱臼よりも後方脱臼の頻度が高いのはどれか。2つ選べ。
  1. 1. 顎関節
  2. 2. 環軸椎関節
  3. 3. 肩関節
  4. 4. 肘関節
  5. 5. 股関節

正答:4・5番

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解説
■ 正答:4・5番 — 肘関節/股関節

脱臼は関節ごとに好発方向が決まっています。肘関節脱臼は約90%が後方脱臼(転倒時に手をついて肘が過伸展される)、外傷性股関節脱臼も約90%が後方脱臼(ダッシュボード損傷)で、いずれも後方が圧倒的多数です。一方、顎関節・環軸椎関節・肩関節はいずれも前方が優位です。


【各選択肢の解説】

1. 顎関節
❌ 誤り。顎関節脱臼はほぼすべてが前方脱臼です。大きく開口した際に下顎頭が関節結節を越えて前方に転位し、閉口できなくなります。
2. 環軸椎関節
❌ 誤り。環軸椎の亜脱臼は、関節リウマチによる横靱帯の破綻や歯突起骨折により環椎が前方へすべる前方亜脱臼が大半です。脊髄圧迫の危険があり、頸部の過屈曲が禁忌となります。
3. 肩関節
❌ 誤り。肩関節脱臼は全体の95%以上が前方(烏口下)脱臼です。外転・外旋・水平伸展の強制で生じ、Bankart損傷やHill-Sachs損傷を合併します。
4. 肘関節
✅ 正しい。肘関節脱臼は約90%が後方脱臼で、成人では肩関節に次いで頻度の高い脱臼です。転倒時に手をついて肘が過伸展されて受傷し、尺骨鉤状突起骨折を合併しやすいです。
5. 股関節
✅ 正しい。外傷性股関節脱臼の約90%が後方脱臼です。股関節屈曲・内転位で膝に後方への強い外力が加わって生じ(交通事故のダッシュボード損傷)、坐骨神経麻痺の合併に注意が必要です。

【試験対策ポイント】

前方が多いのは「肩・顎・環軸椎」、後方が多いのは「肘・股」とまとめて覚えます。

  • 肩関節前方脱臼:受傷肢位は外転・外旋・水平伸展。整復後は内旋位で固定し、再脱臼肢位を避ける指導が必須
  • 股関節後方脱臼:受傷肢位は屈曲・内転・内旋。整復後および人工股関節後方アプローチ後の禁忌肢位も同じ屈曲・内転・内旋。低い椅子・和式トイレ・足を組む・横座りを避ける
  • 肘関節後方脱臼:整復後は固定により拘縮が起こりやすく、異所性骨化にも注意。他動的な強い伸張は禁忌
「脱臼方向=受傷肢位=退院指導で避ける肢位」が一本の線でつながっているのが股関節後方脱臼です。臨床でも国試でも最頻出なので確実にしておきましょう。

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